「ロングテール理論」を世に知らしめたクリス・アンダーソン氏の新刊『フリー <無料>からお金を生みだす新戦略』。出版記念イベントで「無料ビジネス」のからくりと今後の展望について聞いてきた。
「無料なのに、ではない。無料だからこそ、コンテンツは最高品質になる」「それでもユーザーはお金を払いたがる」――。一見矛盾したようにも思える「無料ビジネス」のからくりを解き明かす新刊『フリー <無料>からお金を生みだす新戦略』が11月26日に発売される。著者は米「WIRED」元編集長で、今や広く知れ渡った「ロングテール理論」の提唱者としても知られるクリス・アンダーソン氏だ。
この出版を記念して、ライフハッカー[日本版]編集部主催のトークイベント「FREEMIUM HACKS!!(フリーミアムを攻略せよ)」が11月20日、都内で開催された。パネリストとして登場したのは、トレンドアクセス社長で頓智・(とんちどっと)でCOOも務める佐藤僚氏、LoiLo取締役の杉山竜太郎氏、ライブドア執行役員・メディア事業部長の田端信太郎氏。モデレーターを務めたのは、『フリー』の監修・解説を担当したインフォバーンCEOの小林弘人氏だ。
頓知・の佐藤氏が紹介したのは、開発するiPhoneアプリ「セカイカメラ」の“フリーミアム戦略”。スペインの革製品ブランド「ロエベ」とのコラボレーションや、岐阜県高山市の取り組みを例に挙げ、無料でアプリを提供することによって、ユーザー主導で盛り上がっていくAR(拡張現実)の世界を説明した。
気になるビジネスモデルについては、「アプリをローンチして2カ月、これからどう稼いでいくか悩んでいる」(佐藤氏)。しかし、まずは「BtoB向け」にビジネスを展開していくことを考えているという。「(店舗やイベント会場など)自分たちの空間をきちんと管理したい企業に向けて、高機能版を有償で提供する」というやり方だ。
「エアタグは売らないの?」(小林氏)という質問には、「その可能性もあるけど、マーケットのサイズが限定的だし、この(iPhoneで見られる)狭い空間でどんなディスプレイ広告ができるのか……。そこが悩み」との答え。「BtoCでお金を取るとすると、プレミアムなコンテンツ。セカイカメラの中でペットを飼えるとか、そういうオンラインゲームのような世界かな」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.