緊急事態宣言が全国で解除された現在。生活や働き方が今後どこまで「コロナ前」に戻るのか、あるいは戻らないのか模索が続いている。特に働く人にとっての関心事と言えば「今回のテレワークはコロナ後、元通りになるのか」だろう。
そこで、テレワーク研究の第一人者で、多くの企業を調査してきた東京工業大学環境・社会理工学院の比嘉邦彦教授に前後編インタビューで聞いた。コロナ禍によるテレワーク転換の度合いを評価した前編に続き、今回のテーマは「テレワークは結局、定着するのか」だ。
――コロナ問題の終息後、果たして日本企業にテレワークはどのくらい定着するとみますか。
比嘉: 希望としては定着してほしいと思っているが……。現在、テレワークは3割弱くらいの企業で実施されているとみられるが、終息後にどのくらい残るかと言うと、私は1割弱くらいだろうと考えている。前々からやっている企業は継続するだろうが、(コロナ騒動で)慌てて導入した企業のうち続けるのは4〜5%くらいではないか。個人的には、(実施企業のうち)全体の1割が残れば上出来だと思う。
ただ、この「1割」がコロナ後もテレワークを本格的に実施し続けることがポイントになる。要は、そうした会社では経営者がメリットを実感できた、ということになるからだ。
例えばTwitter社はコロナ後も恒常的にテレワークを許可すると発表した。生産性が上がることが確認できたからだろう。こうした企業が継続していくことで、1〜2年の間にテレワークの定量的な効果が報告されることになる。うらやましがって後を追う企業が出ることで、2〜3年後に本当のムーブメントが出ることを期待している。
そもそも今回の問題が無くとも、日本は台風や地震など災害の多い国だ。出勤できない状態の際にちゅうちょなく在宅勤務に切り替えられるようにする企業は、今後間違いなく増えるだろう。一方で、テレワークを「非常時の事業継続ツール」としか見ていない経営者がほとんど、という問題もある。
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