既に投稿やチャットなどのコミュニケーションツールを持つFacebookが、Webメールクライアントも立ち上げる。
米Facebookは11月15日(現地時間)、Webメールアプリケーションを立ち上げ、米GoogleのGmailや米Yahoo!のYahoo! Mail、Windows Live Hotmailそのほかのメッセージングソリューションに挑む。
Facebookは、同日午前10時から始まるローンチイベントにメディアを招待している。イベントは、同日サンフランシスコで開催のWeb 2.0サミットがスタートする数時間前に設定されている。同社のマーク・ザッカーバーグCEOは16日、同サミットで登壇する予定だ。
米メディアブログのTechCrunchによると、Facebookは「Project Titan」というコードネームのWebメールクライアントをこのイベントで発表するという。このWebメールクライアントでは、5億人以上のFacebookユーザーは、@facebook.comドメインの個人メールアドレスを利用できる。
米オンラインニュースメディアのZDNetによると、TitanはMicrosoftのOffice Web Appsスイートと統合され、FacebookユーザーはMicrosoft Word、Excel、PowerPoint、OneNoteのドキュメントを作成し、共有できるという。
Facebookの広報担当者、メレディス・チン氏は12日、eWEEKの問い合わせに対し「将来の製品についての憶測にコメントする」ことを拒否した。
Yahoo!、Microsoft、Googleなどが既に10億以上のWebメールユーザーをサポートしている今日、新たなWebメールクライアントを立ち上げるというFacebookの選択は一見奇妙に見えるかもしれない。同社はWebベースのコミュニケーションを提供しているのだから。
Facebookのメッセージングプラットフォームでは直接メッセージを送ることができ、メッセージやリンク、写真、動画を1人のユーザーが多数に向けて共有することもできる。Facebookはまた、プレゼンス機能付きのWebベースのチャットクライアントも提供している。
これらの機能に加えてさらにWebベースのメールクライアントを構築するのは、メールアプリをこのプラットフォームのコミュニケーション基盤にする計画ででもないかぎり、余計なことに思える。
米調査会社Altimeter Groupのアナリスト、ジェレミア・オーヤン氏はeWEEKに、Facebookの現在のコミュニケーション機能は、迅速な短いメッセージには適しているが、メールクライアントはそうしたメッセージ以外のコミュニケーションスイートにユーザーを誘導すると説明した。
「ユーザーは日常的に、SNSやSMSとメールの両方を主要なコミュニケーションツールとして使っている」と同氏は語った。
「サービスの機能を拡張することで、FacebookはコンシューマーがFacebookで過ごす時間を増やし、売り上げ機会を拡大する。同社にとって有効な動きだ」(オーヤン氏)
Facebookは確かに、これを実践する人材を持っている。
同社は昨年、SNSアグリゲーターの米FriendFeedを買収した。FriendFeedは、Gmailを立ち上げたブレット・テイラー氏とポール・ブックハイト氏が創業した企業だ。ブックハイト氏はすぐにベンチャーキャピタルの米Y Combinatorに移ったが、テイラー氏は現在、FacebookのCTO(最高技術責任者)だ。
だが、FacebookはGmailと同種のオープンなメッセージングプラットフォームを作ったのだろうか? それとも、ユーザーがこのメールアプリから持ち出せるデータには制限がかけられるのだろうか?
FacebookとGoogleによる最近のデータ可搬性をめぐる小競り合いから、そんな疑問がはっきり浮かび上がる。
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