アクセンチュアが提言する「生成AIを活用した組織変革」とは? その先の“将来像”も考察:Weekly Memo(1/2 ページ)
アクセンチュアが「AIとヒト、AI同士の共創空間」を掲げる新施設を開設した。同社が披露した「AI同士が議論して企業の組織形態を提案するシミュレーション」から、企業変革の将来像を考えてみた。
業務を支援したり自動化したりする生成AIが本格的に使われるようになる将来、あなたの会社の組織形態はどうなるか――。
アクセンチュアが2024年11月14日、そんなシミュレーションを実現するための新たなAI研究開発拠点「アクセンチュア・アドバンスト・AIセンター京都」(京都市中京区)を開設した。同日、同社は京都大学とのAI分野の研究開発における包括連携協定を締結した。両者は、「異なる立場に立つAIが企業の組織設計について議論し、同センターを訪れた人がその議論に加わる」という構想を披露した。
アクセンチュアが描くAI活用の将来像を基に、“その先の将来像”を考察する。
「AI同士の議論にヒトが参加」 経営に新たな洞察を得るための施設とは?
まずは、新拠点と連携協定について、キーパーソンの会見での発言からエッセンスを紹介する。
アクセンチュア ジャパン 代表取締役社長/CEO 兼 アジアパシフィック 共同CEOの江川昌史氏はアクセンチュア・アドバンスト・AIセンター京都の役割について、「当社が持つAIに関する最先端の知見を集約するとともに、学術機関とも連携してAIの社会実装に向けた世界先端の研究開発および世界に向けた発信、そして、生成AIをはじめとする先進技術によって全国のお客さまの変革活動を支援していきたい」と説明した(図1)。
同社 執行役員 データ&AIグループ日本統括 兼 アクセンチュア・アドバンスト・AIセンター京都 センター長の保科学世氏は、「最先端のAIを研究開発するだけでなく、経営者がAIに対する理解を深め、AIとの多様な対話を通じて企業経営に新たな洞察を得るための施設だ」と強調した。
アクセンチュアと京都大学の包括連携協定の締結式が会見時に執り行われ、アクセンチュアから江川氏と保科氏、京都大学から総長の湊長博氏、理事・副学長の引原隆士氏、稲垣恭子氏が出席した。
両者は共同で推進する取り組みとして次の5つを挙げた。
- 異なるリーダーシップスタイルが人間のパフォーマンスやウェルビーイングに与える影響に関する共同研究
- 行動経済学に基づく、人間社会におけるあるべきAI活用に関する共同研究
- AIの公平性・透明性を確保する責任あるAIに関する共同研究
- 大規模言語モデルのマルチエージェントを用いた研究・開発プロセスなどの効率化と高度化に関する共同研究
- 学術・ビジネス領域双方の知見を持ち合わせたAI人材の育成
京都大学の湊氏は協定の締結について、「アクセンチュアとはこれまで個別のテーマごとに連携を進めてきた。今回は、京都で蓄積された歴史や知識を基に、さまざまな意思決定の過程においてAIによるエビデンスに基づいた検証をするというアプローチを提案していただいた。改めて包括的な連携によって新たなステージへ進みたいと考えた」と説明した。
これら2つの発表内容の詳細については新拠点、連携協定の発表資料を参照いただきたい。
さて、先に述べた「生成AIを活用した組織設計のシミュレーション」は、保科氏がアクセンチュア・アドバンスト・AIセンター京都の活用事例として説明したものだ。それがどのようなものなのか。以下に紹介していこう。
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