日本のプロ野球や米メジャーリーグを中心としたスポーツ界の裏ネタ取材を得意とするライター。WBCや五輪、サッカーW杯など数々の国際大会での取材経験も豊富。
昔は好きだったんだけどなあ……。プロレスについて、そう思っている読者も多いのでは。総合格闘技の隆盛や団体の分裂騒ぎなどによって、日本のプロレス界全体の人気は長年に渡って低迷しているのが現状だ。しかし今、実は1社だけ業績を回復させて右肩上がりで“ひとり勝ち”している団体がある。「新日本プロレス」だ。
9月5日、久しぶりにプロレスの会場を訪れた。知人に誘われ、足を運んだのは後楽園ホールで行われた新日本プロレスの「Road to DESTRUCTION」という大会。主催者の方々には大変申し訳なかったが、会場へ行く直前までは「どうせ客席は閑古鳥が鳴いているんだろうなあ」という偏見を抱いていた。ところがそんな思いは後楽園ホールに一歩足を踏み入れた瞬間、木っ端微塵(みじん)に打ち砕かれることになる。
「な、なんだ……。ここは人気アイドルか何かのコンサート会場なのか?」
そう見まがうぐらいに、超満員札止めとなって膨れ上がった客席は若いファンの熱気で満ち溢れていた。女性客も相当な数だ。パッと見たところ、観客2000人強のうち4割くらいを占めていた。
お目当てのレスラーがテーマソングとともにリングへ入場すると「キャ〜ッ、カズチカさ〜ん!」とか「ナカムラさ〜ん!」という黄色い大声援が、四方八方から沸き起こる。プロレスに何の関心も抱いていない人には、この状況を細かく説明しても余りピンとこないかもしれない。だが、とにかくボルテージがスゴいのだ。
私は仕事柄、野球やサッカー、ボクシング、総合格闘技など多くのプロスポーツを取材する機会に恵まれているが、それらに勝るとも劣らない試合会場の盛り上がりぶりには目を見張らざるを得ない。
プロレスに対して「真剣勝負ではないから」「スポーツじゃないから」「野蛮なショーだから」などという理由でアレルギーを覚え、強い拒絶反応を示す人も多いかもしれない。しかし、この「新日本プロレス」が、かつては倒産危機とまで言われながらも奇跡の復活を遂げ、現在は打って変わって多くのファンから絶大な支持を得ていると聞けば、見方も少しばかり変わるかもしれない。そこで、今回は「新日本プロレス」の“V字回復ストーリー”に焦点を当ててみる。
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