IIJmioの大容量プランは「思ったよりも好評」、ドコモ回線品質の苦情は「減っている」と勝社長
IIJが5月10日、2023年度の連結業績と、2024年度〜2026年度の新中期計画を発表した。新中期計画では、SIやネットワークサービス、セキュリティサービス、ネットワークインフラなどの既存コア領域をいっそう強化する。モバイル事業については、法人向けと個人向けどちらも堅調に売り上げと回線数を伸ばしている。
IIJ(インターネットイニシアティブ)が5月10日、2023年度の連結業績と、2024年度〜2026年度の新中期計画を発表した。
2023年度は売り上げが2760.8億円で前年比9.2%増、営業利益は290.3億円で前年比6.6%増となった。
2021年度〜2023年度の前中期計画で見ると、売り上げは約1.3倍、営業利益は約2倍と成果を出した。同社は、コロナ禍をきっかけに、日本企業のICT利活用が進み、特にネットワークサービスやセキュリティサービスが大きく伸びた。モバイルサービスについては回線数が3年で324万から481万へと3倍に増加し、特に法人向けに展開しているフルMVNOで優位性を生かせたと評価する。
新中期計画では、SI(システムインテグレーション)やネットワークサービス、セキュリティサービス、ネットワークインフラなどの既存コア領域をいっそう強化。2026年度までに3800億円の売り上げ(23年度から約1.4倍)、460億円の営業利益(23年度から約1.6倍)を目指す。その後の中長期ビジョンとして、5000億円規模の売り上げを目指す。
鈴木幸一会長は、ここまでの事業と環境について「IIJは今年(2024年)で創業32年目だが、ようやく(売り上げが)3000億円という規模になってきた。最近、政府の投資を見ると桁が大きくなり、ITが国益であることを30年遅れて気付いたのではないか」と振り返る。
今後については「(インターネット事業について)日本全体のコンセンサスがなかったが、ここ1〜2年で急に日本が取り組み出した。IIJにとっても、急激にマーケットが広がり、大型案件の話が増えてきた。日本の企業組織は、大きな転換に対してすぐに対応できる文化がない。日本のカルチャーそのものを変えていく努力をしていきたい」と意気込みを語った。
モバイル事業については、法人向けと個人向けどちらも堅調に売り上げと回線数を伸ばしている。法人モバイルは、2023年度の売り上げが136.3億円(前年比24.5億円増)、第4四半期の回線数が235万(第3四半期から10.1万増)となった。特にネットワークカメラやGPSデバイス、車載器接続などの分野が好調だという。自社でSIMを発行し、柔軟に休止や開始の運用ができるフルMVNOも差別化につながっており、法人モバイルの好調を支えている。
個人向けのIIJmioは、2023年度の売り上げが219.6億円(前年比9.4億円増)、第4四半期の回線数が127.4万(第3四半期から3.6万増)となった。
ちなみに1年前の2022年度第4四半期は、第3四半期から0.9万増だったので、2023年度は4倍伸びている。好調の要因について勝栄二郎社長は、従来通りキャンペーンを続けたことと、3月に開始した30GB〜50GBの大容量プランが「思ったよりも好評だった」ことを挙げる。また、訪日外国人向けプリペイドSIMも好調だといい、IIJブランドのものに加え、MVNEとして提供しているものも含めて売れているという。
MVNOのマーケットシェアは1位を維持しており、2022年12月末の19.7%から、2023年12月末は21.3%にシェアを伸ばしている。これは、新規受付を停止したNTTレゾナント(現在はドコモが承継)のOCN モバイル ONEのシェアが減少した分の影響もありそうだ。
ドコモ回線品質の影響について勝氏は「苦情は減っている。ドコモも説明しているように、減っているのは確か」と話した。
2023年にはKDDIとの資本提携を行い、NTTと並ぶ筆頭株主となった。その結果、協業が進んでおり、「IIJmioでKDDI回線をより積極的に売るようになり、MVNEとしてもKDDIの回線を使っている」(勝氏)という。さらに、アジアでKDDIがIIJのサービスを使ったり、IIJがKDDIのデータセンターを利用したりするといった形での協業も進みつつあるとした。
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