会議の質を採点するシステム 「資料の共有が遅い」「時間通りに進行できている」など数値化
アドバンスト・メディアが、自動文字おこしWebアプリ「AmiVoice スーパーミーティングメモ」を11月2日にバージョンアップする。文字起こしした会議の議事録を分析することで、各出席者の発言回数や発言内容などを数値化できるようにする。
音声認識技術を活用した製品の開発を手がけるアドバンスト・メディア(東京都豊島区)は10月18日、Webブラウザ上で動作する法人向け自動文字おこしアプリ「AmiVoice スーパーミーティングメモ」を11月2日にバージョンアップすると発表した。会議の進行を支援する機能や、その会議が有意義なものだったかを評価する機能を追加する。文字起こしした会議の議事録を分析することで、各出席者の発言回数や発言内容などを数値化できるようにする。
文字起こしには、ディープラーニングを活用した音声認識エンジンを採用。認識精度は約93%で、議事録を作る時間を最大50%減らせるという。従来は文字起こし機能のみだったが、文字起こししたデータや会議にかかった時間などを基に会議を分析する機能を追加した。会議上の各要素を数値化することで、振り返りをサポートする。
「資料共有が遅い」「時間通りに進行できている」 会議を分析して採点する
会議の分析機能では、録音した音声や文字起こしした文字データ、会議自体のデータなどを基に全体の進行や参加者個人の行動を分析。必要な資料が共有されているかどうか、時間が守れているかどうかといった複数の観点で採点する。結果は数値化されグラフとして表示される。例えば、「時間を守らない」「資料共有が遅い」「会議で何も決まらない」「1人しか話していない」──といった会議は点数が低くなる。発言内容のポジティブ/ネガティブも分析できるという。
これらのデータは参加者ごとにレーダーチャートで図式化されるため、「たくさん発言しているが、会議に重要な意見は述べていない」「あまり意見は述べていないが、ネガティブなリアクションは多い」などの分析ができるとしている。
近年では、人手不足や働き方改革などの影響で業務の効率化や自動化への注目度が高まっている。一方会議は、時間通りに終わらなかったり、会議をやったのに何も決まらなかったりと効率の面で改善の余地がある。パーソルホールディングスグループの調査会社「パーソル総合研究所」によると、1万人規模の企業では年間約67万時間、15億円の人件費を会議で無駄にしているという。
アドバンスト・メディアの立松克己常務取締役は、「これまで、会議はブラックボックスだった」と語る。
「会社の中で最もたくさんあるデータは音声。会議の中で音声認識を使うと膨大なデータ量になる。それらを消すのではなくてテキストとして残していく。音声データを見える化して新しい価値を提供できるのではないかと考えている」(立松常務取締役)
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