NECは、6月6日より同社直販サイトのNEC Directにおいて、「LaVie G ハローキティモデル」を販売している。詳細はこちらの記事を見てほしいが、このハローキティモデルは、キティちゃん(本名はキティ・ホワイト)の生みの親であるサンリオと国内PCメーカーの雄であるNEC、そしてクリスタルガラスでおなじみのスワロフスキー(SWAROVSKI)の強力トリオから生まれた製品だ。何だ、色ものPCかと思う読者も多いかと思うが、ところがどっこい、今までありそうでなかったPCに仕上がっている。
今回、幸運にもハローキティモデルの“生誕”(製造現場ともいう)に立ち会うことができたので、その模様を余すところなくお届けしよう。
すでにご存じのかたも多いかとも思うが、このハローキティモデルには先代がいる。3年前に登場したハローキティ生誕30周年記念のノートPCは、LaVie G タイプJをベースにモノグラム調のキティ柄を液晶ディスプレイ天板やパームレストに施したもので、意外と“地味”な印象があった。それに対し、2代めとなる本機では一転してキラキラとしたゴージャス感をアピールしている。
NECによると、今回のモデルでは大きなテーマが2つあったという。
1つは“キラキラ感”の演出だ。今回はNECとサンリオのコラボレーションに加え、クリスタルガラスの造形物で有名なスワロフスキーが製品の企画段階から参加し、19種類計377個ものクリスタルガラスを使用することで(発表時は「299個のクリスタルガラスを使用」とアナウンスしていたが、実は377個ものガラスが使われていたことが取材時に判明)、“輝く宝石箱”のイメージを実現した。NEC Directのホームページには、スワロフスキーと正式に契約したメーカーの証しである「Made with CRYSTALLIZED - Swarovski Elements」の文字が記されている。もちろん、ハローキティモデルの特設Webページも“キラキラ感”がいっぱいだ。
そしてもう1つのテーマは“はがれ落ちないこと”だ。最初のテーマが企画サイドのこだわりとすると、こちらは製造サイドのこだわりといえるだろう。つまり、クリスタルガラスで彩られたキティを少しでも長持ちさせたい、買ったときのままで楽しんでもらいたいという気持ちの表れだ。
実際、クリスタルガラスを固定するための接着剤も4種類から選定し、クリスタルガラスの種類別にデータを計測したという。最終的に、強度と作業性を重視して2種類の混合タイプを使っているが、一番苦労したのは接着剤の量で、ガラスの種類によって微調整しているとのこと。また、使用している接着剤が硬化するのは4時間後からなのだが、品質を重視して2時間ごとに交換しているそうだ。
ちなみに、ハローキティモデルの納品日から1カ月以内なら、ガラス(エレメンツ)の落下などに対しても無償で対応してくれる。それだけ自信の表れと言えるが、今のところ修理の申し出は1件も入っていないという。
このハローキティモデルが作られているのは、NECのマザーファクトリーと呼ばれる米沢事業場だ。NECパーソナルプロダクツ傘下の米沢事業場は、山形県米沢市にあるNEC唯一の国内PC生産拠点であり、開発拠点でもある。
ハローキティモデル2代めは、この米沢事業場の一角で生産される。ただ、クリスタルガラスの溶着や液晶ディスプレイ天板の加工といった手間のかかる作業は工場内の環境になじまないため、場外の協力工場で行っている。田園風景あふれる、のどかな場所でハローキティモデルが産声を上げているわけだ。
キティがまします液晶ディスプレイ天板部分は、以下の作業工程に分かれている。
1.LDCの穴開け加工
2.接着剤の塗布
3.スワロフスキー製クリスタルガラスのはめ込み
4.オーブンを使って接着剤を硬化(80度×4時間)
5.本体の熱カシメ
6.検査
次のページでは、いよいよ“キラキラ”キティ誕生の瞬間に動画を交えて迫る。
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