7月16日に行われたCentrino 2の発表会で、インテル代表取締役共同社長の吉田和正氏は、ノートPCの市場動向とPCで利用するコンテンツの状況において説明を行った。吉田氏は、PC市場でノートPCの占める割合が、2001年の21%から2007年には42%にまで成長し、2009年で51%と過半数を超え、2011年には55%にまで達すると予測するIDCの調査データを示し、次いで、Blu-ray対応機器の世帯普及率やブロードバンドビデオの再生回数などが、この数年で急激に成長している状況を紹介した。
その上で、吉田氏は、これからのモバイルコンピューティングに求められる機能として「HDコンテンツを十分再生できるパフォーマンス」「十分に長いバッテリー駆動時間」「広帯域で利用できるワイヤレス接続性能」「管理機能、セキュリティ機能の拡充と使いやすさの両立」という項目を挙げ、それらを実現する新しいプラットフォームとしてCentrino 2が登場したと述べている。
吉田氏のスピーチを受けて登場した、インテル技術本部 本部長の及川芳雄氏は、Centrino 2を構成する各パーツと、新たに導入された技術について、その概要を説明した。
及川氏は、モバイルコンピューティングのインフラやその構成技術の変遷として、初代Centrinoが登場する以前の2000年と、初代Centrinoが登場した2003年、そして、Centrino 2がリリースされた2008年のそれぞれにおける、CPUの構成トランジスタ数や、インターネットユーザー、無線LANアクセスポイントの数、ネットワークコントローラのスペックを比較し、CPUの構成トランジスタ数が2000年の2800万個から4億1000万個に、インターネットユーザーの数が3億6000万人から14億人に、そして無線LANアクセスポイントの数が1200から25万と、いずれも大幅に数を増えている状況を示した。
こういう状況におけるモバイルコンピューティングに対応すべく登場したCentrino 2だが、構成要素であるCPUは、これまでのCentrino対応CPUでも使われてきた45ナノメートルプロセスルール、High-Kメタルゲートを導入した“Penryn”(開発コード名)世代のCore 2 Duo、またはCore 2 Extremeだが、FSBは1066MHzに対応したほか、TDP25ワットの省電力版が登場したのが特徴、チップセットはCentrino 2と一緒に発表されたモバイル Intel 4シリーズで、メモリがDDR3に対応したほか、統合型のIntel GM45 ExpressのグラフィックスコアがIntel GMA X4500HDにアップグレードされた。
及川氏は、Intel GMA X4500HDを統合したIntel GM45 Expressによって、内蔵グラフィックスだけで構成されるPCでも、スムーズなBlu-ray Discコンテンツが再生できるだけでなく、3DMark系のベンチマークテストでも従来のIntel GMA X3100と比べて1.9倍も結果が向上することを示したほか、Centrino 2プラットフォームを搭載したノートPCがBlu-rayロゴに対応し、Intel GMA X4500HDでフルハードウェアデコードに対応したことで、省電力の再生環境が構築できるとアピールした。
このように、インテルは、Centrino 2の最も重要な訴求ポイントとして、ノートPCの統合型グラフィックスでBlu-ray Discコンテンツが再生できることを発表会で挙げていた。それをうけて登場したのがソニーの業務執行役員 SVP VAIO事業本部長の石田佳久氏だ。石田氏はCentrino 2を採りいれたVAIO type FとVAIO type ZにBlu-ray Discドライブを搭載したことを紹介し、「ソニーは持ち運べるノートPCでもBle-ray Discを再生する環境をこれからも推進していく」と述べた。
及川氏は続いて、IEEE 802.11n(ドラフト)をサポートしたIntel WiFi Link 5000シリーズの特徴と、ビジネスシーンにおけるプラットフォームとしての“vPro” Centrino 2で導入されたAMT 4.0の強化された管理機能(ワイヤレス環境で可能になったリモートアクセス管理、スリープ状態でも運用が可能、ファイアウォールを越えたアクセスができるクライアント主導のリモートアクセス)を紹介した。
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