これまでソニーのモバイルノートPCのラインアップは、画面サイズが小さいものから4.5型ワイド液晶を搭載したグリップスタイルのUMPC「VAIO type U」、11.1型ワイド液晶搭載のモバイルノート「VAIO type T」、12.1型液晶搭載の薄型軽量ビジネスモバイル「VAIO type G」、および13.3型ワイド液晶を搭載したメインストリーム向けモバイルノート「VAIO type S」の4タイプで構成されていた。
type Sには、コストパフォーマンスに優れた“スタンダードバージョン”ともいえる無印の「type S」と、同社直販サイト「ソニースタイル」のVAIOオーナーメードモデルのみで限定販売される上位モデル「type S<プレミアムバージョン>」の2種類が存在していたが、2008年夏モデルでは大きな方向転換が見られる。
type S<プレミアムバージョン>は高級志向を強めた13.1型ワイド液晶搭載のハイパフォーマンスモバイルノート「VAIO type Z」へ、無印のtype Sは豊富な機能と求めやすい価格をそのまま継承した、コストコンシャスユーザー向けの13.3型ワイド液晶搭載モバイルノート「VAIO type S(SR)」へとモデルが切り分けられ、ラインアップの整理が行われたのだ。ソニーはこのtype S(SR)によって、13型クラスノートの市場拡大を狙う。
旧type Sの直系となるtype S(SR)は、7月16日に発表された新型VAIOノート群の全モデルで採用されたシリンダーデザインを取り入れてはいるものの、ぱっと見たときの印象は旧type Sとほとんど変わらず、その遺伝子を色濃く受け継いでいることが分かる。
新旧モデルを横に並べてみると、新型は本体サイズが315(幅)×233.8(奥行き)×24.9〜34(高さ)ミリで重量が約1.88〜1.92キロ、旧型の無印type Sは本体サイズが315(幅)×234.3(奥行き)×24.7〜36.4(高さ)ミリで重量が約1.98キロとなっており、フットプリントと厚みはほとんど同じだが、重量はわずかに軽くなった。
カラーはシャープな印象の「スターシルバー」が店頭販売向けモデルに採用されており、VAIOオーナーメードモデルでは「ナイトブラック」と「サクラピンク」を加えた合計3色から好みの色を選択できる。従来のtype Sには見られなかったスターシルバーやサクラピンクといった明るめのカラーにより、エントリー層や女性など新たなユーザーを取り込もうとする狙いだ。
ちなみにスターシルバーを選択すると、パームレスト、キーボード回り、液晶ディスプレイのフレームはシルバーだが、ボトムカバーはブラック、キーボードはオフホワイトという配色になる。サクラピンクでは天板と液晶ディスプレイのフレームがピンクで、それ以外の部分はスターシルバーと変わらない。ナイトブラックは天板、パームレスト、液晶ディスプレイのフレーム、キーボードなど、液晶ヒンジ部を除く部分がブラックで統一されている。
サクラピンクは女性向けのふんわりとした柔らかい雰囲気に、ナイトブラックはビジネスシーンにも似合うソリッドな外観となるので、カラーコーディネートにもこだわりたい場合は、ぜひVAIOオーナーメードモデルを試してみてほしい。
なお、カラーコーディネートにとことんまでこだわり抜きたいユーザー向けに、ソニー純正のカラフルなBluetoothレーザーマウス「VGP-BMS33」が用意されている。全5色展開のマウスで、type S(SR)のボディカラーとマッチするシルバー、ピンク、ブラックの3色が選べることから、おそろいのカラーにしてみるのも楽しいだろう(ピンクのマウスはソニースタイル限定カラー)。
さらに、サクラピンクモデル向けにデザインされたキャリングケース「VGP-CKSR2」も販売されている。約200グラムと軽量で、インナーバッグとしても使用できるタイプとなっているほか、はっ水加工を施したグレーの表面生地(ポリエステル)に、アクセントとしてケースの上下とベルト部分にピンクの本革を使用した、一見PC用キャリングケースには見えないデザインだ。
ディスプレイのサイズは従来の無印type Sと同様、1280×800ドット表示の13.3型ワイドだが、液晶ディスプレイのグレードは「クリアブラックLE液晶」から「クリアブラック液晶」に強化された。また、LEDバックライトの採用により、ディスプレイ部を薄く仕上げている。すなわち、従来の上位機種であるtype S<プレミアムバージョン>相当の表示品質を確保したわけだ。
実際に表示を確認したところ、クリアブラック液晶おなじみのメリハリがある表示はもちろん、輝度と視野角もモバイルノートPCとしては高い水準にあった。ノートPC用のTNパネルなので高画質とまではいえないが、映像再生時に画面が暗く感じたり、視野角が狭くて画面のチルト角度調整に苦労するようなことはない。多層ARコートにより、光沢処理の液晶ディスプレイの中では外光の映り込みが比較的少ないのも特徴だ。
キーボードは、爪が長い女性でも打ちやすく、安定した静かなキータッチが得られる「アイソレーションキーボード」が新たに採用されている。アイソレーションキーボードとは、キーとキーの間にスペースを設け、格子状のキーボードパネルと接着したものだ。
キーピッチは約19ミリ、キーストロークは約2ミリと、このサイズのモバイルノートPCらしい余裕ある入力環境が確保されていて、キーのぐらつきも少なく、底つき感もしっかりしている。キーのレイアウトに問題はなく、カーソルキーがほかのキーよりも一段下がった独立レイアウトとなっていて、キーの押し間違いが少なくなるよう配慮されているのは好感度が高い。また、VAIOオーナーメードモデルでは日本語キーボードだけでなく英語キーボードも選択できる。
タッチパッドは比較的大きめのもので、シナプティクスの多機能ドライバが導入されているので、タップゾーンやエッジモーションといった、さまざまな機能が利用可能だ。マウスボタンの間には指紋センサが配置されているほか、タッチパッド右側にはFeliCaポート、液晶ディスプレイの上部には有効約131万画素のWebカメラ「MOTION EYE」が搭載されている。
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