6月29日、米Hewlett-Packardのプリンタ部門であるImaging & Printing Group(IPG)が、アジア太平洋および日本地域向けのプレスイベントを香港で開催した。ここで発表されたモデルやサービスがすべて日本に投入されるわけではないが、今後の日本市場での展開を占う意味でも重要なイベントといえるだろう。
基調講演の冒頭、HPアジア太平洋および日本 イメージング&プリンティンググループ上席副社長のジョン・ソロモン(John Solomon)氏が、爆発的に増加しているアジア太平洋地域でのインターネット接続状況を説明した。
まず「アジア太平洋地域では2010年に7億人がインターネットに接続し、増加率も欧米の約4倍と爆発的に増えており、Webの世界が生活の中心になっている。インターネットに接続している10人に6人がアジア太平洋地域に住んでおり、そのうち5人がソーシャルメディアを使い、毎週20時間をソーシャルメディアに使っている」と述べた。さらに「スマートフォンの利用人口は約10億人に迫り、その約35%がアジア太平洋地域が占めている」とし、今後もインターネットへの接続人口は増え続けるという見通しを語った。
そして、「このように、これまでは市場として存在していたのに、適切な環境が提供されていなかった。今回、HPは革新的なWeb対応プリンティングソリューションを発表することで、これらの需要に応えていける」と自信を示した。
続いて、イメージング&プリンティンググループ上級副社長のビオメッシュ・ジョーシ(Vyomesh Joshi)氏が登壇し、「Webプリントの革命」について解説した。
ジョーシ氏は、これまでのプリンティング環境と新しいプリンティング環境について触れ、「10年前はワープロでの印字が大半を占めていたが、今はWeb画面の印刷が当たり前だ。ただ、これまでは多くがプリンタとPCの組み合わせであり、デバイスやOSに依存するため、どこでどうやって印刷するかが悩みだった。しかし今ではスマートフォンをはじめとしてさまざまなデバイスが登場しており、どこからでも印刷したいというニーズは高まっている」と指摘。「我々は、2009年6月に米国で世界初のインターネット接続プリンタであるHP Photosmart Premium with TouchSmart Webを発表した。そのフィードバックをまとめると、ユーザーの70%がプリンタアプリケーションを使い、最も印刷されたのはGoogleのアプリケーションだった」と語った。
ジョーシ氏は「HPが新たに投入するePrint プラットフォームでは、すべてのプリンタがWebに対応しており、ユニークなメールアドレスを持っている。そしてデバイスからプリンタのメールアドレスを指定するだけで、ドライバやケーブルを必要とせずに、OSの違いも気にせずに印刷が可能だ。メール送信機能とネット環境さえあれば、世界中どこでもPCレスで印刷できる環境ができあがる」とアピールした。
また、一部の上位モデルに限られるが、液晶ディスプレイのタッチ操作が行えるのに加え、Print Appsからアプリケーションをプリンタにダウンロードすることで機能を拡張できるのもポイントだ。Print Appsには、同社のオンラインフォトプリント「Snapfish」をはじめ、「USA TODAY」の最新記事が読めたり、お得な映画チケットなどが買えたりと、さまざまなものが用意されている。さらにクラウドで提供される「HP ePrintCenter」を経由すれば、アップロードした文書やPDF、画像データをさまざまな場所にあるプリンタから印刷できるようになる。
「ePrint対応プリンタは99ドルから手に入れられ、すべてがPCレスでWeb接続でき、クラウド対応となっている。こういったエコシステムをHPは作り上げた。これを業界標準にすべく、今後も積極的に取り組んでいく」と抱負を述べた。
次のページでは、今回発表されたePrint対応プリンタを見ていこう。
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