2014年9月30日、米サンフランシスコで「次のWindows」についての発表イベントが開催されることが明らかになった。開発コード名の「Threshold」、あるいは仮称で「Windows 9」と呼ばれる次期Windows OSの発表に期待がかかる。
すでに米Microsoftは、招待状を米メディア各社に送付済みだ。イベントの開始は現地時間で9月30日の午前10時から、日本時間では10月1日の午前2時からとなる。
8月に本連載で「Thresholdの動向が気になる方は、11月前後のタイミングに注視するといいかもしれない」と書いたが、Microsoftはより早いタイミングでの情報公開に向けて動き出した格好だ。
イベント開催日が未定のうちから、米ZDNetのMary Jo Foley氏は「9月末または10月初旬に次期Windowsの“テクニカルプレビュー版”を配布する」との内部情報を報じていた。このイベントの開催とともに、次期Windowsのテクニカルプレビュー版が公開される可能性は高い。
実際、PCメーカーなど一部パートナー企業には、すでに次期Windowsのテクニカルプレビュー版が内々に配布されているという情報を筆者自身も得ている。9月30日のイベントでは、これの最新ビルドをオープンβの形で公開するのではないだろうか。今回は正式発表に先駆け、リーク情報と称してネット上に流れている次期Windowsの情報を整理する。
まだまだ五里霧中の感がある次期Windowsに関する話題だが、1つ確実視されているのが「デスクトップの復権」だ。Windows 8/8.1ではデスクトップが「数あるアプリの1つ」という扱いで、基本的に何かの操作を行う場合は必ず「(Modern UIの)スタート画面」を経由する必要があった。これが次期Windowsでは、デスクトップ画面で操作を完結できるようになる。
「Windows 8/8.1で導入されたModern UI対応アプリやタッチ操作はどうなるのか?」という疑問はあるが、以前にも紹介したように、Microsoftは目的別に複数の「SKU(スキュー)」を用意し、導入されるPCのフォームファクタや利用環境(コンシューマーかエンタープライズか)によって、複数の製品を提供していくことになりそうだ。
例えば「デスクトップ環境中心のSKU」「Modern UI対応アプリのみが動作するモバイルSKU」「エンタープライズ環境向けのSKU」といった具合だ。本連載では「Windows RT消滅」の可能性についても言及したが、ARM版Windowsやタブレット向けのUIは、この「モバイルSKU」に統合されていく方向だと筆者は考えている。
ところで8月末〜9月初旬にかけて、次々とテクニカルプレビューと称した次期WindowsらしきOSのスクリーンショットがネットに流布するようになった。NeowinではリークされたOSについて「Technical Preview for Enterprise」の名称を使っているが、流れてくる画像はどれもデスクトップ画面を中心としたもので、前述の「デスクトップSKU」または「エンタープライズSKU」のいずれかだと考えられる。
WinSuperSiteやZDNetによれば、流出画像はWinFutureやComputerBaseといった、いずれもなぜかドイツのサイトが中心だ。流出した多くのスクリーンショット(Build 9834)は、先方のサイトを参照していただくとして、ここでは現時点で分かる情報を簡単にまとめていく。
デスクトップ画面やスタートメニューはWindows 7以前のものに戻っている。検索バーや、位置こそ違うものの「シャットダウン/再起動」ボタンがスタートメニュー内に復活し、メニュー内には現在ログインしている人物の「アカウント名」が表示されている。
Windows 7以前のバージョンとの最大の違いは、「スタート画面がスタートメニューの一部になっている」点だ。スタートメニューを開くとWindows 8/8.1のスタート画面のようなライブタイルが表示され、ここで最新情報が適時更新される。タイルはサイズや位置の変更が可能で、感覚的にWindows 8/8.1のそれと大差ないようだ。
Microsoftは今年4月に開催したBuild 2014のカンファレンスにおいて、「Modern UIアプリをウィンドウ内で実行する」というデモ画面を少しだけ披露したが、次期Windowsのデスクトップ/エンタープライズの両SKUにおけるModern UIアプリ実行は、この形式をとるようだ。
ただし、もともとはModern UIアプリはフルスクリーン(もしくは分割)サイズでの実行を前提としているうえ、チャーム(Charm)メニューによる操作やアプリ間での連携など、動作は従来のWindowsにはない作法が必要とされている。
Modern UIアプリがウィンドウ表示されている間、右上に「最大化(フルスクリーン)」「最小化」「閉じる」といったボタンが用意されるのは通常のデスクトップ用アプリケーションと同様だが、同時に左上のアプリアイコンの横に「…」という専用ボタンが用意され、ここで「検索」「共有」「設定」といったModern UIアプリ特有のチャームメニュー機能の一部が利用できるようになっている。
実際の動作画面と詳細については、WinSuperSiteの解説が詳しいが、次期Windowsでは「アプリごとに異なる仮想の作業領域」を割り当てることが可能で、それぞれの動作状況を一度に俯瞰(ふかん)できる。
すでにMac OS Xで実装されている「Mission Control(旧名:Expose)」を想像すれば、分かりやすいだろう。
通知センターも改良が見込まれており、Windows 8.1では「アクションが起こった瞬間だけ」通知が行われるのに対し、次期Windowsでは後から通知の内容を一覧で確認し、必要であれば削除できるようだ。
通知センターの機能は、最近のスマートフォンやタブレットにおいてごく一般的なもので、Windows Phoneも8.1のタイミングで正式にサポートされた。こうした仕組みが次期Windowsにも反映される形になるのかもしれない。
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