2015年のPC業界で大きなトピックと言えば、7月29日に一般公開された「Windows 10」が真っ先に挙がるだろう。
「Windows 10」は永遠に未完のOSか?――そんなタイトルの記事を本連載では4月末に公開した。米カリフォルニア州サンフランシスコで行われたMicrosoftによる開発者会議「Build 2015」の直後に書いた記事だ。まさにこのタイトルが、Windows 10の全てを象徴していると考える。
Windows 10には後述する2つの大きなミッションが課せられており、これを実現するために延々とアップデートを繰り返していくロードマップが描かれているからだ。ゆえに、Windows 10はリリースされた時点で完成ではなく、少し先の将来像をユーザーに示しつつ、常に未完成の状態であり続ける。
これは、悪く言えば一般ユーザーを巻き込んでの大規模なβテストのようなものだが、一方で(少なくともサポート期間中は)機能強化を保証してくれるものなので、OSが陳腐化しにくいというメリットがある。
リリース後のWindows 10において、定期的にやってくる累積的なアップデート(Cumulative Update)のほか、機能やユーザーインタフェースの修正がメインとなるアップデート(November Update/TH2)、さらに大きな機能の追加や変更が行われるメジャーアップデート(RS1)が話題になるのはそのためだ。
こうしたアップデートの位置付けとしては、従来のService Packをより細かくしたものだと考えればよいだろう。これはMicrosoftが推進する「最適化モデル(CB:Current Branch)」の考え方にのっとったものだ。
ただし、アップデートで逐次機能の強化や改修が行われるということは、最初の提供タイミングでは「未完成状態」の機能も存在することになる。典型的なのはNovember Update(1511)で提供が開始された日本語版の「Cortana」だ。一般ユーザーへ正式に提供された機能ではあるものの、この日本語の音声対応パーソナルアシスタントは、完成度がまだまだ発展途上にある。
Windows 10の目玉の1つであった新しい標準ブラウザの「Edge」も同様だ。リリース時の完成度はそれほど高くなく、「Extensions」への対応など重要な機能の実装は2016年のWindows 10大型アップデートであるRS1こと「Redstone」(開発コード名)の提供まで持ち越されるとみられる。
いずれにせよ、短期的な評価ではなく、少し長い目で見るべきOSなのかもしれない。
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