Microsoftの音声対応アシスタントと言えば、Windows 10に標準搭載されている「Cortana(コルタナ)」だ。同社はこのCortanaを強化し、Windows 10 MobileやWindows 10(for PC)以外にもカバー領域を拡大していく計画を持っている。
日本では未発売なのでピンと来ないかもしれないが、米国ではAmazon.comの「Alexa」やGoogleの「Google Assistant」といった音声対応アシスタント搭載のスマートホーム向けデバイスが注目されている。実際、Amazon.comは2016年の年末商戦(ホリデーシーズン商戦)で、Alexa搭載のスピーカー型デバイス「Amazon Echo」の販売が前年比で9倍に伸びたと発表している。Googleも同じようなGoogle Assistant搭載スピーカー型デバイス「Google Home」を販売中だ。
こうしたトレンドを受けて、Microsoftは組み込み向けOSの「Windows 10 IoT」でCortana搭載デバイス向けのハードウェア要件を公開し、サードパーティーを交えたデバイス開発を進めている。これにより、Amazon EchoやGoogle Homeに対応するWindowsベースのスマートホーム向けデバイスが遠からず出てくることが予想される。
このサードパーティーのうちの1社、Harman Kardonは2016年12月にMicrosoftと共同でCortana搭載スピーカーのティーザー動画を公開しており、その行方に注目が集まっていた(ちなみに、2016年末にSamsung ElectronicsがHarman Kardonの買収を発表しており、2017年3月11日に買収完了が報告されている)。
MSPoweruserによれば、このスピーカー型デバイスの名称は「Harman Kardon Invoke」と呼ばれ(「Invoke」とは「コンピュータなどを起動する」の意味)、Skype機能が統合されており、スピーカーを通じてSkype上のフレンズを呼び出して自由に会話ができる。また、Microsoftは米国内の一部ユーザーを対象に、このデバイスのテストを開始する計画だという。
現在MicrosoftがSkype上でチャットBot強化の取り組みを行っていることを鑑みれば、Alexaでいう「Skill」のような拡張機能の仕組みなしでも、対話UIのみでWeb上のさまざまなサービスを利用できるようになる可能性が高い。
またSkypeに関しては、日本語のリアルタイム翻訳機能が利用可能になったばかりで、こうした機能も組み込まれていくとなると、いろいろ夢が膨らむ。
前述のユーザーテストについては、ひとまずWindows Insider Programの一部ユーザーを対象にしたクローズドな検証と予想される。次のタイミングとしては、5月初旬に開催される開発者向けイベント「Build 2017」の前後に何らかの追加情報が発表され、もう少しだけ対象ユーザーを拡大した(主にアプリやサービス開発者を巻き込んだ)公開テストがスタートするものと考えられる。
2016年12月の開発者向けイベント「WinHEC Shenzhen」でWindows 10 IoT with Cortanaのハードウェア仕様が公開されたこともあり、サードパーティー製デバイスのうち早いものは5〜6月ごろに登場し、特に5月末に台湾で開催される「COMPUTEX TAIPEI 2017」での実機の出展が期待できそうだ。
これに関連した情報としては、Windows CentralがWindows 10 Creators Updateにおける「Cortanaスピーカー」設定のスクリーンショットを掲載している。これには、手持ちのWindows 10デバイスから対応スピーカーの購入やセットアップを行うメニューがある。
この情報からも、今秋の配信とみられるWindows 10の次期大型アップデート「Redstone 3(RS3)」を待たずして、4月11日に一般向け配信が始まった現行大型アップデートのCreators Update世代で、Cortana搭載の新デバイスが登場する可能性があると言える。
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