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Windows 10の次期大型アップデート「May 2019 Update」が完成へ Release Previewへ配信開始鈴木淳也の「Windowsフロントライン」

» 2019年04月11日 07時00分 公開
[ITmedia]

 先日の本連載でお伝えしたように、「19H1」の開発コード名で呼ばれていたWindows 10の次期大型アップデート(機能アップデート)の「May 2019 Update(バージョン1903)」だが、諸問題への対策を行った「Build 18362.30」のFast RingならびにSlow Ringへの配信がスタートしている。

 上記レポートで触れたが、今回のアップデートは一般向けの広域配信が「5月後半」となる一方で、Windows Insider Programのもう1つの配信チャネルである「Release Preview」を通じて事前に広域テストを行い、1カ月以上の期間を経てさらなる問題の洗い出しを行うことが予告されている。

Windows 10「May 2019 Update」が完成へ、広域テスト開始

 こうした予告に沿う形でMicrosoftは4月8日(米国時間)、「May 2019 Update」に相当する「Build 18362.30」を「Release Preview」へ配信開始した。

 これは、従来でいう「RTM(Release To Manufacturing)」に相当するビルドであり、実質的に「May 2019 Update」が完成した状況になる。このまま1カ月以上のテストを経て問題がないことを確認できれば、同ビルドがそのまま「May 2019 Update」として一般配信される形となるが、実際にはセキュリティや品質向上のアップデートが行われ、それまでにマイナーバージョンが何段階か上がることになるだろう。

Windows 10 Windows Blogに投稿された「May 2019 Update」のRelease Preview Ringへの配信

 このように「19H1」がRelease Previewまでを検証サイクルに含めた一方、次の大型アップデートである「19H2(バージョン1909)」をスキップし、「20H1(バージョン2003)」に相当するアップデートの開発がすでに進行しつつある。

 Microsoftは4月5日(現地時間)に公開した「Check your Windows Insider Program settings」というタイトルのBlog投稿の中で、Fast Ringユーザーに対して間もなく「20H1」の配信開始を予告しており、もし同ブランチに相当する開発途上ビルドを受け取りたくない場合、今のうちにSlow Ringへ変更を行うようWindows Insider Program参加者に対して促している。

 なお、「19H2」に相当する開発途上ビルドは今春の終わり頃に配信がスタートする予定で、これら詳細については後日改めて報告すると述べている。

 この動きについて簡単に補足しておくと、現在Microsoftは「20H1」と「19H1」を同時開発しており、「May 2019 Update」の一般向け配信が開始されたタイミングで「19H1」の開発ブランチはそのまま「19H2」へと移行することになる。

 その理由としては以前のレポートにもあるように、「20H1」開発のためのリードタイムがこれまでよりも幾分か長く必要であり、その検証サイクルを長く確保すべく、Skip Aheadを選択したユーザーに対して「19H2」ではなく「20H1」を先行配信する形で対応することにしたためだ。

Windows 10 「Skip Ahead」の仕組み

 今回はこのグループにFast Ringが加わった形で、2019年を通じた開発サイクルとしては「20H1」を検証したいユーザーはFast Ringを(すでに選択済みのユーザーの場合は「Skip Ahead」)、「19H2」を検証したいユーザーはSlow Ringを選択する形で使い分けることになる。

 この動きから推測できるのは、「19H2」に相当するブランチでは新規機能はほぼ追加されず、機能面やユーザーインタフェース面でのマイナーチェンジや不具合修正が中心になるとみられることだ。

 メリットとしては、機能面での変化が少ないため企業にとっては適用してもユーザー教育に伴う諸問題が少なく、「19H2のタイミングで社内展開を済ませてしまう」という選択肢も採れる。

 SACの更新サイクルにおける猶予が18カ月あることを考えれば、1〜2世代までは大型アップデートをスキップすることが可能だ。おそらく比較的大きな更新となる「20H1」の登場を前に、問題が少ないと思われる「19H2」を展開させてSACの猶予期間を延ばすこともできるだろう。企業のIT管理者は「20H1」の開発状況を鑑みつつ、そのフィードバックを経て2020年初頭のWindows 7退役後のITシステム更新計画を立てるといいかもしれない。

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