PCゲームを楽しんでいる人の環境は、いったいどのようなスペックだろうか。デスクトップPC? ノートPC? それとも両方? ユーザーによって環境はさまざまだろう。しかし、最近はゲーミングノートPCのラインアップが充実しだして、性能もデスクトップPCに拮抗(きっこう)しており、ノートPCを選ぶ人も多いのではないだろうか。
何といっても省スペースで済むし、持ち運び自由なのがノートPCのメリットだ。狭い日本の家屋では、一人暮らしでもしていない限り、大きなボディーを家に置いておけるはずもない。それは筆者も同じで、デスクトップPCなどというドデカい代物を家に設置した瞬間に、配偶者からの冷たい視線と、「どこに置くのよこれ!」という怒りを一身に受けなければならない。
筆者はこの前、PCをリプレースしたのだが、もちろん選んだのはノートPCだ。スペックは、CPUが6コア12スレッドのCore i7-9750HでGPUはGeForce RTX 2060、ディスプレイのリフレッシュレートは144Hzというもの。PCゲームをたしなんだりするので、その要望的には必要最小限のスペックを満たしており、とりあえず2年くらいは使えるかな、というものだ。だってそれで税込み価格は18万前後なんですぜ? リーズナブルでコストパフォーマンスもいいじゃん。
そのような環境を見透かしてか、PC USERの編集長から「ROG Zephyrus S GX531GXR(以下、GX531GXR)のレビューをしません?」という依頼が舞い込んだ。このモデルのスペックは、CPUは私が持っているPCと同じだが、GPUはGeForce RTX 2080(ただしMax-Qだけど)で、ディスプレイも今後は主流となるリフレッシュレート240Hzだ。
なんかケンカ売ってますか? と、うがった見方をしたくなる1台である。しかし、価格は私のPCの倍以上だ。「あー、そうですね、素晴らしいマシンを見せつけようとするのですね」と、ひねくれながらもこのスペックには興味を持った。そらそうでしょ。これが買えるなら、2年、いや3年くらいはこのままでいいじゃん、もしかしたら。そんなあこがれのPCを検証しつつ、GX531GXRと“拳”で語り合いたいと思う。
まずはGX531GXRのスペックから見ていこう。
ROG Zephyrus S GX531GXRの主なスペック | |
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CPU | Core i7-9750H(6コア12スレッド/2.6GHz〜4.5GHz) |
チップセット | Mobile Intel HM370 |
メモリ | 24Gバイト(DDR4-2666) |
ディスプレイ | 15.6型ワイドTFTカラー液晶(ノングレア、リフレッシュレート240Hz) |
画面解像度 | 1920×1080ピクセル |
GPU | GeForce RTX 2080 with MAX-Q Design(NVIDIA Optimus Technology対応) |
グラフィックスメモリ | 8GB |
ストレージ | M.2 SSD MVMe 1TB(PCI Express 3.0 x4接続) |
無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n/ac |
Bluetooth | Bluetooth 4.1 |
キーボード | 83キー英語キーボード(4ゾーンRGBイルミネートキーボード) |
外部ディスプレイ出力 | HDMI×1 |
USBポート | USB 3.1(Type-C/Gen2)×1、USB 3.1(Type-C/Gen1)×1、USB 3.1(Type-A/Gen2)×1、USB 2.0×2 |
バッテリー駆動時間 | 約5.4時間(JEITAバッテリー動作時間測定法 Ver2.0) |
サイズ(突起部除く) | 約360(幅)×268(奥行き)×15.35〜16.15(高さ)mm |
OS | Windows 10 Home 64bit(1903) |
重量 | 約2.1kg |
先ほども少しひがみっぽく述べたが、GX581GXRで押さえるべきポイントは3つだ。
CPUにCore i7-9750Hが搭載されているが、このクラスのゲーミングノートPCではほぼデフォルトで搭載されているので差別化ポイントではない。メモリが24Gバイトと余裕を持った容量となっているのは評価したい。後はGPUとリフレッシュレートをどう見るかだ。
GPUは、ノートPCとしては上位クラスのGeForce RTX 2080(8GB)を搭載するが、ボディーが薄型のためか「GeForce MAX-Q Design」(以下、Max-Q)版が採用されている。Max-Qとはご存じのように、ノートPC向けに消費電力と発熱量を低くコントロールされているGPUであるということだ。その代わり動作周波数が低く、ノーマル版よりも若干性能が落ちる。ただし発熱量を低くコントロールできるため、GX531GXRのように薄く軽いノートPCを作れるというわけだ。
次は、液晶ディスプレイのリフレッシュレートが240Hzであることだ。これは文句なしに高く評価したいポイントだと思う。ディスプレイのリフレッシュレートは60Hz時代が長く続いたが、最近のゲーミング系のフルHD液晶の場合、低くても144Hz、ちょっと高いのを買えば240Hzの製品を得ることができる。液晶ディスプレイ単体でいえば、3万円台後半から購入することが可能だ。
しかしノートPCの場合、17型や15.6型と外付け液晶ディスプレイよりさらに小型だ。このため液晶ディスプレイが高価となり、主流はまだ144Hzにとどまる。しかし今後を考えた場合、ここ1〜2年の間に240Hzが主流となるのは間違いない。それを先取りして使えるのはうれしいところだ。
ただし、ここがキモだと思うのだが、GX531GXRのWeb直販価格は44万3800円(税別、ASUS Store価格)だ。筆者が購入したショップブランドPCの倍以上の価格となる。果たして納得して購入できるのだろうか。そのあたりを順に見ていきたいと思う。
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