日本HPの「Envy x360 Laptop 14-fc(インテル)」は、Core Ultra シリーズ1(開発コード名:Meteor Lake)を搭載した14型のモバイルPCだ。これまで利用していたNECパーソナルコンピュータのモバイルPC「LAVIE NEXTREME Carbon」(PC-XC950DAG)に代わり、Envy x360 Laptop 14を使ってPC USERの記事制作に活用して1カ月が過ぎた。
ここでは前回に続き、使い込んで気付いたメリットとデメリットを見ていく。
出先や会社でノートPCを使う場合、キーボードやタッチパッドは入力インタフェースとして要になるポイントだ。ディスプレイの表示品質では、有機EL採用のEnvy x360 Laptop 14に軍配が上がったが、キーボードやタッチパッドの使い勝手はどうだろうか。
普段から、キーボードなどにこだわっている人からすると、こちらの写真を見て「これは……」と気が付く部分があるだろう。1つは電源ボタンがDeleteキーの左側に用意されているということだ。幸いなことに、長押ししないと機能しないため作業中に誤って入力してスリープなどに入るということはないが、ただでさえキー数が多い日本語配列だと何かのキーが犠牲になっている。
本機の場合は、InsertやPrintScrteenキーなどは単独のキーが用意されず、Fnキーとの組み合わせで提供されている。慣れで何とかなる部分ではあるが、どうにもならない場合は別途ユーティリティーなどを導入してキー割り当てを変更する必要がある。
それ以上に気になるのは、カーソルキーの小ささと「↑」キーの左右に配置された「PageUp」「PageDown」キーの存在だ。主要キーを中心に多くのキーはサイズが正方に近く大きなキーになっているが、カーソルキー周辺の6キーはその半分しかない長方形サイズになっており、押しにくく上下のキーで誤って押してしまうことが非常に多い。
さすがに慣れてくると誤爆の頻度は減るが、それでも利用する場所(机の上だったり、膝の上だったり)が変わった際に最初のタッチはどうしてもミスが発生する。次からは体が自動的に微調整するが、その位置を認識するまでは誤ったキー入力が行われてしまう。
しかも、原稿を編集していたり執筆していたりする場合、カーソルを左に行かせるつもりがPageUpをおして盛大にスクロールしてしまう。使い込むうちに頻度が減ったとはいえ、前述のようにゼロにはできず、ストレスを感じる部分だった。
なお、主要キーのキーピッチは約19mm、キーストロークは約1.5mmと、LAVIE NEXTREME Carbonの約18.7mm、キーストロークが約1.3mmよりもわずかに広く、そして深くなっている。
そこまで気になるなら、これらのキーを使わずに代替すればいい(外付けのキーボードを持ち歩いて尊師スタイルで使えばと言う意見は、荷物が増えるので同意できない)という話があるかもしれない。
例えば、もっとキー数が少ないPFUの「Happy Hacking Keyboard(英語配列)」シリーズのように、Controlキーとの組み合わせでカーソルキーを代用(本機の場合は別途ユーティリティーが必要だ)するという手もある。しかし、ノートタイプのキーストロークが浅く、キーの横幅も狭いキーでコンビネーションキーを多用すると、思った以上に指が疲れてしまうのだ。
かつてPFU製品を使っていたので、コンビネーションでカーソルキーを使うことも体は覚えているが、ノートPC内蔵のキーボードを使う際はできるかぎりカーソルキーを使いたい。どうしてもキー配列やノートPCのサイズを含めて全体に影響する部分だけに、モバイルPCでカーソルキーを大きくするのは何かとトレードオフの状態になるわけだが、これまで使っていたLAVIE NEXTREME Carbonでは生じなかった問題だけに、悩ましいところだ。
ひょっとしたらUEFI(BIOS)メニューで変更可能かもと思ったが、本機の場合はそのようなメニューは見当たらなかった。キー入力時の音については、もともとLAVIE NEXTREME Carbonが静かで強めにタイプしても気になることはなかったが、Envy x360 Laptop 14も同様だった。厳密に言うとLAVIE NEXTREME Carbonの方が静音性は高かったが、どちらのモデルも静かな環境で使っても周囲を気にする必要はないだろう。
なお、バックライトは白色で明るさを3段階に調整できる。暗い会議室や飛行機の機内でも利用可能だ。
逆にタッチパッドはLAVIE NEXTREME Carbon比で約1.54倍に広がり、スクロールやジェスチャー操作などもスムーズに行え、こちらはかなり快適だった。
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