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「GeForce RTX 5090」を速攻テスト! 約40万円からだが“異次元”のうたい文句はダテではない ただし電源容量と冷却面に注意(1/3 ページ)

まもなく発売を迎える「GeForce RTX 5090」。モンスター級のスペックを持ちながらも2スロット厚に収まる純正GPU「GeForce RTX 5090 Founders Edition」を通して、その実力をチェックしていこう。

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 NVIDIAの新型GPU「GeForce RTX 5090」を搭載するグラフィックスカードが、まもなく発売される。日本における税込み想定販売価格は39万3800円からとなる。

 ITmedia PC USERでは、発売に先駆けてNVIDIA純正のグラフィックスカード「GeForce RTX 5090 Founders Edition」(日本未発売)を先行レビューする機会を得て、そのパッケージとカードの外観を紹介する記事を先日掲載した。

 この記事では、いよいよ本カードの“実力”をチェックしていく。

GeForce RTX 5090 Founders Edition
GeForce RTX 5090 Founders Edition

そもそも「GeForce RTX 5090」ってどんなGPU?(おさらい)

 テストを始める前に、GeForce RTX 5090を含む「GeForce RTX 50シリーズ」の仕様を改めて確認していこう。

 GeForce RTX 50シリーズは、NVIDIAの最新GPUアーキテクチャ「Blackwell(ブラックウェル)」をコンシューマー向けに初採用したGPUだ。AI(人工知能)を生かした「ニューラルレンダリング」を実現すべく、AIの処理性能を高める工夫が施されている。

概要
GeForce RTX 50シリーズにおけるBlackwellアーキテクチャの概要

 行列演算をつかさどる「Tensorコア」は第5世代に進化し、FP4(4bit浮動小数点演算)」をサポートした。これにより、生成AIの大幅な性能向上が望める。

 ゲーミングという観点では、NVIDIA独自の超解像技術「DLSS(Deep Learning Super Sampling」の最新バージョン(DLSS 4)において「マルチフレーム生成」を利用できるようになった。これはGeForce RTX 40シリーズにおける「フレーム生成」をより高度にしたもので、1つのフレームにつき補間フレームを最大3つ生成できる

マルチフレーム生成
DLSSの最新バージョン「DLSS 4」では、1つのフレームから補間用フレームを最大3つ生成する「マルチフレーム生成」に対応した。これはTensorコアの演算性能の向上だけでなく、AIによる処理を“仕分け”する「AIマネジメントプロセッサ」を別途搭載して効率を高めることで実現している
4倍に
1フレームから最大3フレームを補間するということで、理論的にはほぼ超解像のみを行う「DLSS 2」と比べるとフレームレートは最大4倍となる。実際のゲームタイトルでは4倍とまでは行かないが、フレームレートが大きく改善し、レイテンシーも抑えられる
発売日で75タイトル
DLSS 4は発売日時点で75タイトル/アプリで利用できるという
機能差分
DLSS 4の機能のうち、マルチフレーム生成はハードウェアに依存するためGeForce RTX 50シリーズのみ対応となる。同じくハードウェア依存のあるフレーム生成以外は、過去のGeForce RTXシリーズでも利用可能だ

 動画エンコーダー「NVENC」は第8世代から第9世代に、動画デコーダー「NVDEC」は第5世代から第6世代に進化し、4:2:2フォーマットの動画のエンコード/デコードに対応した。動画を扱うクリエイターにも、一定の恩恵がある。

 グラフィックスメモリはGDDR7規格となり、メモリの帯域幅は最大で毎秒1.7TBまで拡大された。GPU内のデータ伝送速度が向上するということは、PCとの接続バスも高速化を求められる。そのこともあり、接続バスはPCI Express 5.0(PCI Express 4.0互換あり)となった。

4:2:2
色空間の広い4:2:2フォーマットのデコード/エンコードも可能となった。CPUを使う場合と比べて大幅な時短効果が得られる
直近3世代
直近3世代のGeForce RTXシリーズのスペック比較

 今回レビューするGeForce RTX 5090は、GeForce RTX 50シリーズのフラグシップモデルだ。主な仕様は以下の通りとなる。

  • CUDAコア:2万1760基
  • Tensorコア(ピーク処理性能):3352 AI TOPS
  • RTコア(ピーク処理性能):318TFLOPS
  • 動作クロック(定格仕様):2010GHz〜2410GHz
  • グラフィックスメモリ:32GB(GDDR7/512bit)
  • 動画エンコーダー:3基(第9世代)
  • 動画デコーダー:2基(第6世代)
  • 消費電力(定格仕様):575W(補助電源は「8ピン×4」相当)

 CUDAコアの数は、先代の最上位モデル「GeForce RTX 4090」(1万6384基)から約25%しか増えていないものの、先述したTensorコアの改善やAI処理の整理を行う「AIマネジメントプロセッサ」の実装によりピーク時の処理性能が2倍以上に向上している(1321AI TOPS→3352AI TOPS)。

 グラフィックスメモリの容量は24GBから32GBに増え、帯域幅も384bitから512bitに拡張された。動画エンコーダー/デコーダーは世代が進化しただけでなく、それぞれ1基ずつ増設された。まさしく、GPUを使う“あらゆること”に対して機能を強化した、現時点で最強のGPUといえる。

 しかし、かなりの性能向上には“代償”を伴う。定格の消費電力(TGP)は450Wから575Wとなり、PC全体に求められる推奨電源容量も850Wから1000Wと増えている(※1)。

 現在使っているデスクトップPCのアップグレード手段として、GeForce RTX 5090を搭載するグラフィックスカードに載せ替える場合、電源容量が十分か事前に確認が必要となる。

(※1)Ryzen 9 9950X(TDP:170W)を搭載するPCの場合。実際に必要な電源容量はシステム環境によって異なる

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