きこえの検査
私達が、音を正しく聴くためには、音が入ってくる道(耳介、外耳道)、それを伝える装置(鼓膜、耳小骨、中耳腔)、伝わってきた音の振動を電気信号に変える場所(内耳にある蝸牛)、電気信号を脳へ伝える聴神経、音を感じ取る大脳、これらすべてが正常に働いていなくてはなりません(下図)。
きこえが悪いということは、音を伝える装置(鼓膜,耳小骨、中耳腔)の障害(伝音障害)や音の振動を電気信号に変える場所(蝸牛)の障害(内耳障害)、きこえの神経の障害(神経性障害)、あるいは脳の障害(中枢性障害)によるものです。
また、単独に障害される場合だけなく、2つ、ないしは3つ同時に障害されている場合もあります(混合難聴)。どこが障害されているか、およびいろいろな治療法を選択する上でも、いくつかのきこえの検査をしなければ判断がつきません。
また、単独に障害される場合だけなく、2つ、ないしは3つ同時に障害されている場合もあります(混合難聴)。どこが障害されているか、およびいろいろな治療法を選択する上でも、いくつかのきこえの検査をしなければ判断がつきません。
難聴の種類および程度を調べる検査
標準純音聴力検査
一般に聴力検査という場合は、この標準純音聴力検査のことをさします。周囲の雑音を遮蔽する防音室で検査を行います。まず、ヘッドホーンを両耳にあて、125ヘルツから8,000ヘルツまでの7種類の高さの異なる音のきこえを調べます(気導の検査)。左右別々に検査を行い、聞こえる最も小さな音の大きさを調べます。この検査を行うことによって、難聴があるかどうか、および難聴の程度がわかります。検査結果は聴力図に記載します。
聴力図の横軸は音の周波数(単位はヘルツ)で、縦軸は音の強さ(単位はデシベル)です。横軸の右ほど音が高くなり、縦軸の下ほど聞こえが悪くなります。
検査の結果は、
聴力図の横軸は音の周波数(単位はヘルツ)で、縦軸は音の強さ(単位はデシベル)です。横軸の右ほど音が高くなり、縦軸の下ほど聞こえが悪くなります。
検査の結果は、
- 聞こえは悪くない(正常)
- すこし聞こえが悪い(軽度難聴)
- かなり聞こえが悪い(中等度難聴)
- ほとんど聞こえない(高度難聴)
- 聞こえない超高度難聴(聾)
難聴者の聴力図の1例
純音聴力検査には、骨導の検査も重要となります。骨導検査は骨導受話器を耳の後ろにあて、皮膚を通して直接骨に音の振動を与え、内耳の蝸牛を刺激します。
骨導の検査では蝸牛に直接音の刺激を与えるので、蝸牛より後ろの経路、蝸牛や聴神経の障害が判ります。
すなわち、外耳道の病気(外耳炎、耳垢)や中耳の病気(中耳炎)では、気導での検査で低下を、骨導の検査では正常の値を示します(伝音難聴)。これに対して、蝸牛やそれ以後の経路の病気では、気導および骨導の聴力低下が認められます(感音難聴)。
骨導の検査では蝸牛に直接音の刺激を与えるので、蝸牛より後ろの経路、蝸牛や聴神経の障害が判ります。
すなわち、外耳道の病気(外耳炎、耳垢)や中耳の病気(中耳炎)では、気導での検査で低下を、骨導の検査では正常の値を示します(伝音難聴)。これに対して、蝸牛やそれ以後の経路の病気では、気導および骨導の聴力低下が認められます(感音難聴)。
難聴の原因(障害部位)を調べる検査
感音難聴は、さらに内耳の蝸牛の障害でおこる内耳性難聴とそれ以後の神経の障害による後迷路性難聴とに分けることができます。この診断に必要なのが、自記聴力検査・SISI検査・語音聴力検査です。
自記聴力検査
自記聴力検査ではヘッドホーンを耳にあて、自動的に音が大きくなったり小さくなったりしますので、音が聞こえたらボタンを押します。ボタンを押していると次第に音が小さくなります。音が聞こえなくなったらボタンを放します。
この検査の記録の型から、内耳性難聴か後迷路性難聴かの判断がつきます。I型は正常者あるいは伝音性難聴、II型は内耳性難聴、III・IV型は後迷路性難聴、V型は心因性難聴とされています。
この検査の記録の型から、内耳性難聴か後迷路性難聴かの判断がつきます。I型は正常者あるいは伝音性難聴、II型は内耳性難聴、III・IV型は後迷路性難聴、V型は心因性難聴とされています。
SISI検査
SISI検査は、ヘッドホーンから一定の間隔で10回音を聞いてもらい、音が大きくなったことに気づいたら知らせてもらいます。10回のうち何回気づいたかを%で表わします。
内耳性難聴ではこの値がほとんど100%に近くになります。
内耳性難聴ではこの値がほとんど100%に近くになります。
語音聴力検査
私達が、きこえと言う場合、ことばのきこえが重要になることは言うまでもありません。
語音聴力検査では、日常会話で使われる語音、「ア」や「イ」などの語音が使われます。検査語音がどの程度の音の大きさだと何%正しく聞こえるかを調べる検査です。
外耳道、鼓膜、耳小骨などの異常による難聴(伝音難聴)では、音さえ強ければほとんど100%ことばを聞き取ることができます。蝸牛やそれより後の経路に異常がある場合(感音難聴)では、ことばの聞き取りが100%にならないことがあります。
語音聴力検査では、日常会話で使われる語音、「ア」や「イ」などの語音が使われます。検査語音がどの程度の音の大きさだと何%正しく聞こえるかを調べる検査です。
外耳道、鼓膜、耳小骨などの異常による難聴(伝音難聴)では、音さえ強ければほとんど100%ことばを聞き取ることができます。蝸牛やそれより後の経路に異常がある場合(感音難聴)では、ことばの聞き取りが100%にならないことがあります。
聴性脳幹反応検査
脳波を利用した聴力検査です(ABR)。この検査は、音を聞かせ、それに反応する脳波をコンピュータを使って記録しますので、赤ちゃん、幼小児、知能の低下があって普通の検査ができないとき、および脳腫瘍による難聴の診断に極めて有用です。また、脳波の波形を分析することによって、難聴の程度、障害部位を診断することも可能です。
ティンパノグラム
子供に多く見られる滲出性中耳炎は、中耳腔に液体が溜まる中耳炎ですが、これを診断するにはティンパノグラムと呼ばれる検査が大変有用です。
この検査では、外耳道の入口に耳栓をして検査します。この耳栓の中には、小さいスピーカーとマイクロフォン、それと空気の出し入れをするポンプが入っています。ポンプによって外耳道の気圧を変え、その時、音がどのように鼓膜に伝わるかを調べます。
この検査では、外耳道の入口に耳栓をして検査します。この耳栓の中には、小さいスピーカーとマイクロフォン、それと空気の出し入れをするポンプが入っています。ポンプによって外耳道の気圧を変え、その時、音がどのように鼓膜に伝わるかを調べます。