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神奈川県横須賀市が三笠公園をリニューアル。集約・交流拠点を整備しにぎわいの創出を目指す

都市計画・再開発(地域情報)/横浜・川崎・千葉・埼玉/首都圏 ニュース

2024/09/25 配信

横須賀を代表する公園。老朽化や来園者の少なさが課題

横須賀市は神奈川県南東日の三浦半島に位置する中核市指定のまち。市域の東側は東京湾、西側は相模湾に面する。三浦半島における中心都市であり、行政・経済的機能、さらに向上や住宅は東京湾川に集中し、相模湾側には自然が多く残され農業も盛んだ。

江戸時代から国防の拠点とされ、軍港として栄えた横須賀市。現在も米軍・自衛隊施設がおかれている。1992年には人口約43万人を誇ったが、その後は減少に転じ、2018年に40万人を割り、直近は約37万人。画像は三笠公園。
江戸時代から国防の拠点とされ、軍港として栄えた横須賀市。現在も米軍・自衛隊施設がおかれている。1992年には人口約43万人を誇ったが、その後は減少に転じ、2018年に40万人を割り、直近は約37万人。画像は三笠公園。

鉄道はJR東日本の横須賀線、京急本線と久里浜線も乗り入れる。東京都心まで約1時間とアクセスは悪くない。横浜横須賀道路や三浦縦貫道なども通る。文化系施設や名所・旧跡も多くあり、ビジネスと商業。観光のバランスが取れたまちといえるだろう。

三笠公園は1961年に開園した、市内にある公園のひとつ。横須賀新港に面した場所にある都市公園(歴史公園)で、大日本帝国海軍の戦艦「三笠」が保存・公開していることで知られる。

京急の横須賀中央駅から徒歩10分、JR東日本の横須賀駅から徒歩30分の距離にあり、「日本の都市公園100選」「日本の歴史公園100選」にも選ばれている。

「よこすかカレーフェスティバル」や「日米親善よこすかスプリングフェスタ(米買う軍基地開放)」など、市を代表するイベントも同公園で開催されており、年間の来園者は平均で140万人にものぼる。

三笠公園の様子。記念艦三笠や円形噴水池の東郷平八郎像などが有名。 画像出典:横須賀市
三笠公園の様子。記念艦三笠や円形噴水池の東郷平八郎像などが有名。
画像出典:横須賀市

一方、かつての大規模修繕工事から30年以上が経過したことから設備の老朽化が進み、旧音楽噴水池や野外ステージなどを含む公園の奥川のエリアについては、大規模イベント実施時以外は訪れる来園者も少ないという。

こうした課題を受け、横須賀市は多目的な活用を意識しつつ民間連携を軸としたリニューアルを検討し、新たな魅力の創造を図るとともに、横須賀中心街や三浦半島全域に波及するにぎわいの創出を目指すべく「三笠公園集客・交流拠点機能拡充事業」の基本計画を策定した。

同市では今後のまちづくりを示す「YOKOSUKAビジョン2030」「YOKOSUKA再興プラン2022-25」「横須賀市都市計画マスタープラン」「横須賀市みどりの基本計画中間見直し計画」「横須賀市都市公園の整備・管理の方針」「横須賀市観光立市推進基本計画」の6つの上位計画をすでに掲げており、三笠公園の再整備にあたっては、これらの中から「三笠公園が備えるべき要素」に関連すべき項目を抽出し、基本計画としてまとめている。

2026年度以降の開業・運営を目指す

事業のコンセプトは「市内外から多くの方が訪れ、行きたくなる新たな魅力の創造・発信拠点~横須賀市ならではの特徴を活かし、進化し続ける公園~」とした。リニューアルの基本的な考え方は下図の通りだ。

リニューアルの考え方(事業の基本方針) 画像出典:横須賀市
リニューアルの考え方(事業の基本方針)
画像出典:横須賀市

基本方針に取り組む具体的な手段として、次のような整備方針と維持管理・運営方針を設定している。

■整備方針
▶公園全体で統一された景観整備
・公園全体が海辺の開放的な雰囲気を感じさせる景観整備を行う
・猿島への眺望景観を確保する
・記念艦三笠等の時代背景と調和した景観整備を行う

▶多様なイベントが実施可能な環境整備
・日常的に多様なイベントを実施することを前提に、十分な規模のインフラ設備(電源、上下水道設備等)を整備

▶民間収益機能の導入
・ 横須賀ならではのカルチャーと相乗効果を発揮する民間施設を導入
・対象地の強み(海、猿島、米海軍基地、記念艦三笠等)を生かしたサービスを提供す
る民間施設を導入

▶魅力的な滞在空間の整備
・ 大屋根や芝生広場等が一体的にデザインされ、多くの人を惹きつけるような来園の目的になり得る三笠公園ならではのシンボルを創出する
・ 三笠公園ならではの雰囲気を醸成し、利用者が自由自在に、自分ならではの居心地の良い場所を見つけ、滞在したいと思える空間を創出する
•・開放的な芝生広場やデッキ、休憩場所等を整備し、海辺を楽しみゆったりくつろげるような場を整備する

■維持管理・運営方針
▶多様なイベントのコーディネート
・ アーバンスポーツ教室やキッチンカーなどの日常的なイベントから、スポーツ大会や音楽イベント等の大規模イベントまで、市内外から人を惹きつける多様なイベントを企画・誘致する

▶周辺施設との積極的な連携
・ ルートミュージアムや1万メートルプロムナードうみかぜの路に位置付けられている施設との連携によって市全体への波及効果を高める
・周辺施設のまちづくりの取組みとの連携によって賑わい創出の効果を高める

▶人を呼び込む仕掛けづくり
・ 多くの人が訪れたくなるようなブランディングを行う
・ 対象地で行われる活動やイベント情報等を広く情報発信する
・来園者の分析(属性、来園目的、来園のきっかけ等)等を行い、その結果をブランディング・情報発信に活かすなど、人を呼び込むためのマーケティング施策を行う

▶利用者が公園運営に参画する仕組みづくり
•・利用者によって、公園の日常管理、イベントの補助、公園利用のルール・環境づくり等が行われるようにする
・ 利用者の意見を公園の改善に繋げる仕組みを作る
・利用者間の相互コミュニケーションによる自治が行われるようにすることで、禁止事項を最大限なくす

整備イメージ(期待される導入機能とゾーニングの一例) 画像出典:横須賀市
整備イメージ(期待される導入機能とゾーニングの一例)
画像出典:横須賀市

事業方式は民間のノウハウを生かし、市の税制負担の軽減や収益性の確保が見込める「Park-PFI方式」「DB方式」「指定管理方式」の3つの事業方式を組み合わせることを想定。

2024年度に事業者公募・選定を行い、選定された事業者と基本協定及び事業実施に向けた実施協定を締結。設計及び建設を進め、2026年度以降の開業を目指す。

横須賀市では「横須賀再興プラン」により、歴史や文化、スポーツを生かしたにぎわいの再興の実現に向けた取り組みのひとつとして「ルートミュージアムのさらなる強化(公園のさらなる利活用)」を掲げている。

三笠公園はされライト施設として位置付けられ、リニューアルにより付加価値を向上させるのが狙いだ。

これによりまちが活性化することで、関係人口や定住人口の増加に貢献するかもしれない。

健美家編集部(協力:大正谷成晴(おしょうだにしげはる))

大正谷成晴

■ 主な経歴

フリーランスの編集・ライター。
不動産投資、株式投資、投資信託、FXなどマネー関連、ビジネス全般、働き方、副業、クレジットカード、医療・介護など、幅広いジャンルで取材・執筆を行っている。

■ 主な著書

  • 『決定版 1万円からはじめるFX超入門』(かんき出版)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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