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神奈川県・「本厚木駅」北側、「厚木市役所跡地」活用の検討進む。最有力はアリーナか?

都市計画・再開発(地域情報)/横浜・川崎・千葉・埼玉/首都圏 ニュース

2024/12/02 配信

本厚木駅北口の様子
本厚木駅北口の様子

厚木市役所周辺の状況と求められる機能

神奈川県の中央部、本厚木駅の北側に位置する厚木市役所の跡地について活用方法の検討が進んでいる。

本厚木駅は小田急線の停車駅で、2023年度の1日当たり乗降客数は12万3,159人。

小田急線だけで比較すれば、本厚木駅の乗降客数は下北沢駅よりも多くなっている(下北沢駅には京王井の頭線も停車する)。

厚木市役所は本厚木駅から北へ500m程度の場所に位置しており、駅からの所要時間は徒歩で10分くらいだ。なお、敷地面積は約8,686㎡となっている。

厚木市役所の位置図
厚木市役所の位置図

※引用:厚木市

神奈川県厚木市は、老朽化し​​た市役所本庁舎の移転を計画しており、時期は2027年度を予定している。

厚木市は、現市役所を移転した後にできる跡地の活用方法について検討を進めているという状況だ。

現市役所は厚木中央公園や大手公園といった公共スペースに隣接しているほか、周辺のエリアは法務局や簡易裁判所なども立地している。厚木市の行政機能が集積しているのが特徴的だ。

また、駅の乗降客数から見ても、駅前はかなり人が多く賑わいのあるエリアと言って良いだろう。

しかし、2019年度に実施された本厚木駅周辺の歩行者通行量調査によると、現市役所の前の通行量は平日で4,800人だ。

駅の東口付近では23,000人弱の通行量があることから、駅から北へ500m程度離れると通行量が5分の1程度に減っていることがわかる。

本厚木駅周辺の図
駅の東側には厚木バスセンターが位置しており、ラッシュアワーの時間帯はとても混雑している。

※引用:厚木市

厚木市は本厚木駅周辺エリアにおける実態として、回遊性が認められない点を課題視しているところだ。

一方で、現市役所は厚木中央公園に隣接しており、公園では定期的に大規模なイベントが開催されるなど、市民が集まる環境が整っている。

このため、厚木市は市役所跡地の活用方針として、駅前の回遊性向上に寄与するとともに、周辺施設との一体的活用によって市民の憩いの場となることを目指すとした。

なお、この跡地活用について、厚木市は単なる土地売却ではなく土地を所有したまま有効活用を図る方針を示している。

現市役所は市の中心市街地における数少ない大規模な市有地であることから、まちづくりにおける重要な役割を担わせたいという考えがあるからだ。

企業ヒアリングや市民対話の結果

厚木市は2022年から民間企業や市民への意識調査などを行っており、随時その結果を公表している。

市が事業者向けに実施したサウンディング調査には7つの民間事業者が参加し、その提案内容は住宅を中心とした複合施設から総合アリーナまで多岐にわたった。

その中でも多かった提案内容は、アリーナや多目的ホールといった、集客施設を核としたものだ。

厚木市市街地の様子
厚木市市街地の様子。神奈川中央部における拠点として、本厚木や海老名にオフィスを構える企業も多い。

一方で市民の意向を探るために実施されたアンケートでは、約2,500人から回答が寄せられ、「にぎわいが生まれる場所がほしい」という意見が27.6%と最も多く、次いで「プロスポーツやコンサートを楽しみたい」が21.6%となった。

また、災害時の避難所としての機能を求める声も14.7%あり、防災拠点としての役割に対する期待も高いことが明らかになった。

具体的な施設選択については、アリーナ建設を望む声が約40%と最も多く、多目的ホールが約27%でこれに続いている。

市民からは「有名アーティストのライブは周辺施設への経済波及効果が見込める」「地域とスポーツチームの一体感のあるまちづくりができる」といった期待の声が寄せられている。

一方で、特に大規模イベント開催時の交通混雑対策や、近隣住民への配慮が重要な検討事項として認識されている。

これらの意見を踏まえ、市は「つなぐ」をコンセプトに掲げ、スポーツや文化、都市機能、地域をつなぐ拠点として整備を進める方針を示している。

本厚木は近年都市開発が盛んな海老名駅から2駅隣の駅であり、構想・開発が進めば神奈川県中央部における都心として役割を果たすことになるだろう。

建物が完成するのはまだかなり先のことと予測されるが、構想の行方に期待したいところだ。

取材・文:秦創平(はたそうへい)

秦創平

■ 主な経歴

フリーランスライター。
不動産業界歴約12年を経て2019年からフリーランスのwebライターとして活動を開始。営業マン時代にはセミナー講師の経験も多数あり。
国内・海外を問わず不動産投資に関する記事が専門で、現在では毎月数十本単位の記事を執筆中。特にデータを用いた市場分析が得意で、海外マーケットに関するリサーチ記事の執筆も多数請け負っている。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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