悪い意味で「まじめ」すぎると、結果的に時間やコストなど多くのものが無駄になる。はきちがえた「まじめ」さは、「みじめ」な結果を招く。つまり、「まじめ」と「みじめ」は紙一重。だからこそ「まじめ」に対する考え方に、少しだけ工夫を加えることが大切だと説くのが、『99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ』(河野英太郎著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
「報連相のコツ」、「会議のコツ」、「メールのコツ」など8項目に分けられたその工夫は、どれもが当たり前で些細なこと。しかし著者は、「意外に実行している人は少ないものです。おそらく99%の人が実行していない、と言っていいかもしれません」と指摘しています(5ページ)。今回はそのなかから、基本的なことだからこそ大切な「時間のコツ」に焦点を当ててみましょう。1.他人の時間をムダにしない(128ページより)
高い意志を持った人ほど頼まれた仕事を断れず、すべて自分でこなそうとするもの。しかし許容量を超えると仕事の質が落ち、結果的には(やりなおしになることで)自分の時間も他人の時間もムダにしてしまうと著者は言います。当然ながらそのような状況は避けなくてはなりませんから、他人に迷惑がかかっていることに気づいた時点でタスクの仕分けをすることが大切。そして自分の限界を超えていると思ったら、勇気を持って断ることも大切だそうです。誰しも身に覚えがあるのではないでしょうか?
2.優先順位を決める(130ページより)
時間の使い方を考える際、どの仕事に優先順位を置くかと迷う時間ほどムダなものはありません。そうならないためのコツは、自分の中で前もって明確な優先順位を決めておくこと。たとえば優先順位を家族、お客様、チームメンバー、チームメンバー以外の仲間と決めておけば、どこから手をつけたらいいかがおのずと明確になり、ムダな時間が発生しなくなるというわけです。逆に限られた時間の中で焦ってすべてに対応しようとすると、どれも中途半端になってしまうので要注意。
3.すぐやる(132ページ)
業務に追われるなかで、内容を認識しつつも「あとでやろう」と思うことはよくあるもの。しかし、すぐにやれば1〜2分ですむことを翌日まで持ち越すと、数十倍の時間をかけることが必要になってしまうこともありうるといいます。だからこそ、「すぐやる」ことはムダを省くという意味でとても大切。また圧倒的なスピードには、「人に感動をもって自分を印象づける」という効果もあるそうです。
4.ひとつの行動にふたつ以上の目的を持たせる(134ページより)
スピードはビジネスの武器であるだけに、ひとつの行動にふたつ以上の目的を持たせることが重要だと著者はいいます。たとえば、
- 他のフロアの誰かを訪ねるとき、近くに座っている別の同僚への用件も同時にすませる
- 乗り換えや電車待ちなど移動の時間で、ホウレンソウをしてしまう
- 通勤時間は、英語のヒアリングや資格取得等、自分の能力開発に使う
など。ポイントは、「この時間を、別の何かに有効活用できないか」と常に意識的に心がけることだそうです。
5.早朝型を試してみる(136ページより)
深夜型と早朝型をくらべると、早朝型の効率のよさが実感できるそうです。たとえば早朝には電話がかかってこないので、考えることに集中できる。また、たまったメールも一気に処理できる。頭も冴えていて処理スピードが飛躍的に速いため、様々なことがうまく回るというわけです。しかも前日に早く寝る習慣をつければ、簡単に早朝型スタイルに切り替えることができるのだとか。
いかがでしょうか? つまり著者が伝えたいのは、「当たり前のコツを身につけるだけで、仕事の効率が飛躍的に上がる」ということ。応用してみる価値は大いにありそうです。他にもシンプルで効果的なコツが満載されていますから、ぜひ読んでみてください。
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(印南敦史)