思いを伝えるとき、やっぱり「手書き」が必要なんだと思わせてくれるツールですよ、これは。

Wacom(ワコム)から発売されている「Bamboo Pad」は、タッチパッドとして指で操作できるだけでなく、付属のデジタルスタイラスペンを使ってペン入力もできるツールです。多くのクリエーターに愛されるペンタブレットを提供してきた同社の製品だけに、「よくできたお絵かきツール」なのではと思ったら、そうではない。ビジネスツールとして非常に優秀です。

オフィスを離れて仕事をするワークスタイルが注目されていますが、Bamboo Padのコンパクトなサイズ感は、カバンの中に入れて持ち歩くのにうってつけ。なおかつ、顔を見合わせることなく、モニタ越しのコミュニケーションに起こりがちな「ちょっとしたことが伝わりづらい」という課題を解決してくれます。

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Bamboo Pad, wireless」のワイヤレスレシーバーは、電池カバーの内側に内蔵されています。有線タイプの「Bamboo Pad, USB」もあり

私自身、フリーの編集者として原稿をやり取りすることもあれば、企画を持ち込みプレゼンすることもあります。PCとBamboo Padをカバンに入れて持ち歩いて、こんな使い方をしてみました。

手書きの力、侮りがたし!

ノートPCのトラックパッドは最近どんどん大きくなっているし、Windows 8の登場以降とくに、画面を直接触って操作する感覚に慣れてきた感もあります。直感的に操作できる指と、さらに、細かな書き込みが可能なペンによる操作ができる。この両者を兼ね備えているという点で、Bamboo Padはまさに「いいとこどり」だと思うのですが、特にペン入力が可能にするコミュニケーションのメリットを実感できました。

・資料に手書きで修正指示を入れる

メールで資料をチェックする際にいつも思うのが、文章をタイプして修正箇所を伝えるのは、結構煩わしいということ。「書類の2枚目の13行目のこの言葉を...」というやりとりは時間がかかるだけでなく、伝達ミスにもつながります。

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相手を気遣ったコメントを載せておくと、対面ではなくてもこちらの表情がちゃんと伝わりそう

Bamboo Padのペン入力であれば直接指示を書き込めるので、相手との理解の齟齬がなくなります。わざわざ出力して書き込んでスキャンして...という手間も省けるのもいいですね。

・集合場所のマップにもひと言フォローを

スケジュールや集合場所を伝えるとき、単にGoogleマップのアドレスを送るだけでもいいのですが、周辺のランドマークを手書きで加えたり、「○○○の信号を曲がった3軒目の建物。▲▲▲の看板が目印です」など、より、わかりやすい工夫をすることで安心してもらえるはずです。

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Macであれば『Skitch』を利用して地図を[画面キャプチャ]して書き込むのが便利(Macで使用するには別途ドライバソフトのインストールが必要・無料)

・イラスト署名にしてみたら、顔を覚えてもらえる(はず)

日々多くの人と出会い、挨拶をするわけですが、相手の顔と名前を覚えておくのが苦手な人も多いのではないでしょうか。それはきっと相手も同じ(私もそうです)。そのため、メールの署名に似顔絵を付け加えてみました。

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イラストは似ていなくても大丈夫。署名を見て「どんな人だったかな?」と思ってもらえれば、成功です

同世代には似顔絵つき、目上の方には手書きだけというスタイルもいいかもしれません。

・プレゼンで、相手の気持ちを掴み続ける

手書きを演出効果として使うのは、想像以上に効果的です。まだ熱心に勉強していた学生時代、教科書に書き込みをした思い出がありますが、それはいま、たとえばプレゼンにも使えるテクニック。

Bamboo Padを片手にプレゼンしながら、「ここがポイント!」と手描きでメッセージを加える。レーザーポインタの代役以上に、印象的な「書き込み」をすることが可能です。

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別売りの「Bamboo Stylus feel carbon」はずっしりとした重さと書き味の良さが気に入っています。人前で使うのにちょっと威張れる格好良さもポイントです(Bamboo Padだけでなく、Wacom feel IT technologies搭載の端末でも使用できるそう)。現在、セット販売のキャンペーンを実施しているようです

何かを伝えるのに最も大切なのは、聴衆の意識を惹きつけ続けること。Bamboo Padで付け加えるフォローコメントは、自分がいま伝えたいことを、会場全体とダイレクトに共有するためのアクションになると思います。

手書きは、思いを可視化する行為だと思う

オンラインで仕事をする機会が増えていることは先述したとおりですが、それは電話やメールのやり取りだけではありません。ひとつの資料をつくるにも、リアルタイムで編集することで仕事の効率化が計れます。

離れた場所で働くスタッフと作り上げていくのに、デスクトップ共有機能を使い、オンライン・ミーティングを開催してみるのは便利です。MicrosoftのOffice 365でもGoogleハングアウトでもいいのですが、叩き台となる資料を共有、「ここの箇所、いいアドバイスがあれば教えてください」と囲っておく。すると、ホワイトボードに書き込みながらブレストするように、頼れる専門スタッフが資料を補足してくれる──。

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リアルタイムで注釈を加えながら資料をつくる。スピード感とひらめきを重視するなら、やはり手書き

手を加えるべき資料を塩漬けにせずに済むという効用もありますが、なにより密度の濃い打ち合わせの後には、より強度のある資料が完成するものです。Bamboo Padを使ったコミュニケーションは、デジタル化したやりとりにアナログな表情を付け加えてくれるのだと感じました。

相手との物理的距離は関係なく、丁寧で、楽しいコミュニケーションができる。モバイルワークスタイルの日々を、より豊かにしてくれると思います。

タッチジェスチャーはWindows 8との相性も抜群だった

Office 365のドキュメント共有機能にふれましたが、このBamboo PadにはWindows 8でこそ真価を発揮する機能もあります。タッチパッドを指先で操るタッチジェスチャーがそれ。

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「チャーム」もジェスチャーで呼び出せる。「Bamboo Padジェスチャーガイド」(PDF)より

他にも、スタート画面でタイルを横にスクロールしてアプリを探したり、アプリを切り替えたり終了したり。Windows 8のPCには、画面にふれて操作してこそ意味がある機能が多いですが、ひとつひとつの操作をタッチパッドひとつで行うことができます。画面に「手あか」が付くのがどうにも...なんてキレイ好きなわけではないのですが、わざわざ身を乗り出して画面をふれる必要がないのは、慣れてみると案外ラクでおすすめです。

タッチジェスチャーに限らず、Bamboo Padの機能は使ってみると想像以上にユニーク。絶対座標でカーソルを動かす感覚は、マウス入力にはないスピード感を味わえます(パッドの入力エリアに置いたペンの位置が、そのままモニタ上の位置にポイントされる)。モニタ上をカーソルが"ジャンプ"する、この感覚を味わうだけでも、一度使ってみる価値があると思いますよ。

ワコムの公式サイトでもBamboo Padの使い方が解説されているので、どうぞあわせて参考にしてみて下さい。

Wacom|高性能タッチパッド Bamboo Pad, wireless

Wacom|高性能タッチパッド Bamboo Pad, USB

Wacom|Bamboo Stylus feel carbon

(松尾仁)