アメリカ人の600万人がパニック障害を、4000万人が不安障害を抱えているといいます。つまり、あなたが不安障害と闘っていたとしても、それは決して孤独な闘いではありません。同じ悩みを抱えている人々がどのように不安をコントロールしているかを知ることで、多くの気付きが得られるはずです。
今回は、不安を抱える人々が自分の経験、病気との闘いから得た学びをご紹介します。「多くの人が経験している」という現実を理解する
「不安をコントロールする中で得た最大の気付きは、不安を抱えているのは自分だけではないということです」米ミズーリ州セントルイスに住む主婦のマーガレット・コリンさんです。彼女は、自分と同じ苦しみを抱えているのは自分だけではなく、不安障害は「性別や社会的地位に関わらず、あらゆる人に起こりうるもの」であると悟ります。この気付きがきっかけで、彼女は自分を責めることを止め、外部に助けを求めるようになりました。
「不安障害を抱えているという理由で劣等感を感じなくなりました。なぜなら、この病気を抱えている人は他にも何百万人といるのですから。疎外感や孤独感を感じることはなくなりました」。今では、コリンさんは不安感が高まるときには、自分を責めるのではなく、同様に同じ苦しみを抱えている人達への共感を感じるようになったと言います。
自分自身の支援者になる
クリスティ・カムズさんは、心の病気に関する支援活動を行っている女性でMotherhood Unadornedというブログを書いています。彼女自身、幼い頃から現在に至るまで、不安障害と闘ってきました。「子どもの頃は、それが不安障害だとは分かりませんでした。ですが今振り返ると、頻繁に起こる胃痛や、突然飛行機が自分の寝室に墜落するのではないかといった、訳の分からない不安は、決して正常な反応ではなかったと思います」
何年も経て、彼女は自分自身の支援者になることの重要性を学びました。「医者だけを頼りにすることはしません。両面通行の道なのです」こう話す彼女は、不安障害は他の病気と同様に「幸せを感じる方法、最善の方法で病気をコントロールする方法を見つけること」が重要であると言います。
自分なりの対処方法を身につける
「継続的に瞑想することが、私にとって最良の方法です」と著述家のPriscilla Warnerさんは言います。 彼女は、子どもの頃にパニック障害を患っていたという若いチベット僧に瞑想の方法を学びました。「瞑想をするのにサポートが必要なときには、画像や瞑想用の音楽をダウンロードして使います」。特につらい時期の最中にあるときには、EMDRの心理療法(注:眼球運動を使った治療技法)を受けると言います。「セラピーがもっとも効果があると分かりました。トラウマになっている経験に対処するのにもっとも効果的な方法です」。彼女はまた、砂糖やカフェインの摂取を抑え、定期的に散歩をするようにしています。
Kathryn Tristanさんは、ワシントン大学医学部の研究者で、『Why Worry? Stop Coping and Start Living(和訳:なぜ悩むのか? 対処しようとするのを止めて、人生を生き始めよう)』の著者でもあります。彼女は長年、不安障害とパニック障害に苦しんでいました。彼女もまた、いくつかの対処方法を身につけています。その1つが深呼吸です。「呼吸をするときに、1分ほどかけて息をゆっくり深く胸に吸い込むイメージをします。そうすると、より深く呼吸ができますし、すぐにリラックスできます」過去に起きたことを思い悩んだり、将来に対して不安を感じるときには「今、この瞬間において正しいこと」に意識を集中するようにすると言います。
不安感に生活をコントロールされないようにする
臨床心理学者のEdmund J. Bourne博士は、深刻な強迫性障害を患っていました。約45年ものあいだ、強迫観念を抱えていたのです。「強迫観念を抱く対象は、常に移り変わりました。ある1つの対象に思考が慣れ始めると、また新しい対象が現れるのです」。つまり、彼の前には常に乗り越えるべき挑戦が立ちはだかっていました。しかし、彼はこの問題を乗り越える最善の方法は、強迫観念に人生をコントロールさせないことだと悟ります。
「ただ目の前の仕事に取り組み、自分の人生でやりたいと思う全てのことをやるようにしました。強迫性障害が、それを邪魔しようとする時でも。私はよく自分に言い聞かせていました。"そうか、今、強迫性障害が現れている。ただ仕事に集中して、障害はただの雑音だと思うようにしよう" と」
不安感をアウトプットする
Bourne博士は、不安障害についての本を書くことで、不安の対象をそらしました。ベストセラーとなった『The Anxiety & Phobia Workbook(和訳:不安症・恐怖症ワークブック)』をはじめ、彼は複数の本を書いて、彼自身に役立った数々の対処方法を紹介しました。その方法とは、たとえば、深呼吸、瞑想、祈ること、運動、ネガティブな考えを違う視点から捉え直すことなどです。
子どもの頃に強迫性障害であるという診断を受けたJustin Kloskyさんもまた、自身の不安感を仕事へと活かしました。彼は、専門家によって構成される組織を立ち上げ、『Organize & Create Discipline: An A-to-Z Guide to An Organized Existence(和訳:対処方法を整理して、身につけよう)』という本を執筆しました。「私たちは精神を自分の思うように使い、そのエネルギーを自分の望む場所に注ぐことのできる力を持っています。そうした力を不安をつくることに使うのではなく、前向きな変化を生み出すために使う方がずっと役に立ちます。私たちは皆、そうした力を持っているはずです」と彼は言います。
変化には時間がかかることを理解する
「不安感をコントロールする上で学んだもっとも大切なことは、変化をすぐに期待してはならないということです」こう語るのは、Panic About Anxietyというブログを執筆している大学講師のSummer Beretskyさんです。これは、ドライブスルーサービスやテキストメッセージのように、すぐに欲しいものが得られる現代社会においては、理解するのが難しいことかもしれません。しかし、現実に治療には時間がかかり、また大変な努力も必要です。「本当の変化はゆっくり起きるのです」と彼女は言います。
症状に波があることを受け入れる
Beretskyさんは、不安感に波があることに苦しんでいました。「1週間まったくパニックに襲われないこともあれば、翌週には数日連続して家から出られないこともありました」と話します。
こうした症状の波があるとき、こうした波は決して症状の悪化を意味しているわけではないと、自分に言い聞かせました。「最悪の状態が続いているときでも、決して症状が悪化しているというわけではありません。そんなときでも、前進しているのです。ほんの少しだけの前進だったとしても」
不安感を客観的に分析する
Tristanさんによれば「私たちの心は光のような速さで反応し、しばしば恐怖やネガティブな思考に基づいた考えがわき起こることもあります。しかし、それは何か問題や危険に直面したときに自らにその危険を知らせるための反応でもあるのです。起こるべくして起きている反応なのです」。
彼女は、こうした反応を受け入れ、自分の考えを客観的に分析するようにしました。「私はわき起こる考えを受け入れるか、拒否するか選択することができます。意識して、自分の考えを切り替えることができるのです」
自己療法を実践する
「最悪な不安感に襲われるときは、振り返ると質のよい睡眠が十分にとれていなかったことに気付きました」とComesさんは言います。彼女は睡眠を「最善の自己療法」であると言います。そのほか、彼女はタンパク質、野菜、果物をとることで不安感が大きく軽減することを発見しました。食事からグルテンと穀物類を減らすことも効果があることに気付きました。
ある特定の症状に対処するようにする
母親であり、ライター、幼稚園の教師でもある ニューヨークのブルックリン在住のスザンナ・ボートナーさんは、22歳のときに初めてパニック発作を経験しました。「それ以来、セラピスト、友人、家族から多くのサポートを得たおかげで、パニックや不安発作が生じるときに身体に出る症状を自覚できるようになり、そうした症状に対処する方法を学びました。突然深刻なパニックに襲われそうになったとき、初期に身体に出る症状です」
彼女は、恐怖をコントロールすることは難しいため、身体症状を解決するという方法をとったのです。たとえば、めまいを感じ始めたときには、横になり、何か別のことに集中するようにする。心拍数が高まってきたら、深呼吸をして、呼吸に集中する。手がしびれてきたら、指を伸ばして、感覚を取り戻すようにする、といったように。
こうしてテクニックによって、Bortnerさんの不安障害がすぐに軽減することはありませんでしたが、精神をなにかに集中させて、落ち着いた状態を取り戻すのに効果を発揮しました。「こうしたテクニックを使うことで、ある1つのことに意識を集中でき、頭がおかしくなるんじゃないか、死んでしまうのではないかといった恐怖に襲われることがなくなりました。自分ではコントロールの難しい、大脳の働きによるパニックの感情に左右されるのではなく、なにか1つの物理的なものに集中することによって、なす術が何もないと思われるようなときにも、なんとか自分を保つことができました」
The Biggest Lessons I've Learned in Managing My Anxiety | PsychCentral
Margarita Tartakovsky(原文 / 訳:佐藤ゆき)
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