アンダー・プレッシャー』という歌もありますが、プレッシャーにさらされる状況では、高い能力をもつ人でさえ、混乱して無様な姿をさらしてしまうケースがあります。プレッシャーがかかる状況を前にして自分の不安を何とか抑えたいのなら、まずはその時の気持ちを書き留めてから、タスクに取りかかりましょう。このメソッドを紹介していたニュースサイト「Vox」の記事によると、(ちょっと恥ずかしくても)その時の自分の気持ちを文字にして書き留めておくと、不安な気持ちが和らぎ、感情をうまくやり過ごすのに役立つのだそうです。要するに、自分の思考を取り出して具体化することで、心配事から生じる緊張を軽減しようというわけです。そうすれば、プレッシャーから解放され、いつも通りの活躍ができるようになります。

シカゴ大学の心理学者で、おもにプレッシャーがかかる状況で人が失敗する理由を研究しているSian Beilock氏が率いる研究チームの実験でも、テストに臨む前に自分の気持ちを書き留めておくとプラスの効果が得られることが何度か明らかになっています。2011年に『Science』誌に掲載された研究で、同氏のチームは大学生の被験者を集め、非常に難易度の高い数学のテストを受けてもらう実験を行いました(この研究については、『Science』のニュースコーナーに、Sara Reardon氏による非常に優れた概説記事があります)。

プレッシャーを高めるために、一定以上の成績をあげれば報奨金がもらえること、テストを受ける様子はビデオ撮影されていて、あとで教師や友人が映像を見ることが、被験者に伝えられました。さらに追い打ちをかけるかのように、「この実験であなたのパートナーとなる被験者はすでに同じテストを受けて良い成績をあげているので、あなたも同じように良い結果を出さないと、パートナーをガッカリさせることになる」とも告げられました。怖いですね。

こんな状況でも、テスト開始10分前に自分の感情を書き留めるように指示された被験者グループは、単に過去の出来事を思い出して書き留めるだけだった比較対象グループと比べて、良い成績をあげたのです。さらにこの方法は、実験環境ではない、実社会でも有効なことがわかりました。研究チームでは続けて、普通の中学3年生を対象に、本番の期末テストで同じ実験を行いましたが、こちらでも同様の結果が出たといいます。

もちろん、プレッシャーのかかる状況を前にするたびに、いつでも自分の気持ちを書き留められるかと言ったら、それは難しいでしょう。それでも、テストやスピーチ、あるいは就職の面接などであれば、事前に用意をする時間はかなりあります。それに、重要なミーティングを前にノートに何か書き留めている姿は、何だかカッコ良く見えると思いませんか。プレッシャーのかかる状況への対応については、ほかにもいくつか具体的なテクニックが「Vox」の記事に書かれているので、良かったらチェックしてみてください。

The science of choking under pressure ? and how to avoid it | Vox

Eric Ravenscraft(原文/訳:長谷 睦/ガリレオ)

Photo by The LEAF Project.