Crew blog:私には、苦手なことがたくさんあります。
1日でたくさんのことを終わらせる、
定期的にトレーニングする、
クローゼットをきれいに保つ
などはその一例です。
もっと上手になりたいと思いますが、どんなに望んでも、変化には困難が伴います。それが苦手なことの場合はなおさらです。
あなたの変化を嫌って、さまざまな力が働きます。脳は変わりたくありません。身体も変わりたくありません。世界も変わりたくありません。
私は、苦手なことは克服が必要だと自分に言い聞かせ、自分の望むレベルにまで改善できるようなアクションを、できるだけすぐに起こすようにしています。
たとえば、ふと気づくと私の1日のToDoリストには、10個以上の項目が並んでいます。とても1日でできる量ではなく、せいぜい3つもできればいい方です。そのため、毎日の終わりには、十分にタスクを終えられなかったことに不安を感じてしまいます。
対策として、1日のToDoリストには最大5項目までと決めました。これはなかなかいいアイデアでした。1日に5つのタスクというのは、妥当に感じられたのです。それで私は、こう自画自賛していたものです。「素晴らしい。問題を自ら発見して、具体的かつ管理可能な改善アクションを提案した。やればできるじゃないか」と。
いい気持ちでした。
でも、そんな気持ちは2日しか続きませんでした。それ以降、リストが日に日に長くなっていったのです。1週間もすると、けっきょく元の木阿弥。ToDoリストには、またしても10以上の項目が並んでいたのです。
それ以降、ToDoに関する改善を試みるたびに、いつも同じサイクルの繰り返しになってしまいました。
堂々巡りで、抜け出すことができない。
そう思ったときに、ようやく気が付きました。私が変わろうとすること自体、数ある苦手なことの1つだったのだと。
180度変わっちゃおう
先日、こんな記事を読みました。ウェブ音楽販売大手「CD Baby」創設者でライターでもあるDerek Sivers氏が書いた記事です。これによると、私たちが変化に失敗するのは、やり方が不十分だからだそう。
Sivers氏は、シーソーを比喩に用いて説明しています。
何かを変えたいと思ったとき、レンガはすべてシーソーの左側にあります。
ToDoから数項目を減らすといった、ほんの小さな変化を起こしたとき、レンガが1つ、シーソーの右側に移動します。気分はいくらかよくなるかもしれませんが、バランスが変わることはありません。
残念ながら、このような小さな改善では、あなたの一生の考え方や行動に変化を起こすことはできません。
習慣を変えることは困難です。なぜなら習慣とは、抵抗が最小の経路だから。そして、私たちの脳は常に、抵抗が最小の経路を好みます。何であれ、私たちはシンプルなことを望み、習慣は考える必要がないのでシンプルです。このようにして、列車が線路に沿って走るように、私たちはただ習慣に従うことになるのです。
列車が線路を変更するのを見たことはありますか? それは、非常に時間がかかる作業です。まず、列車は停止しなければなりません。そして、何度か前後に行き来します。係員が、手動でポイントを切り替えます。これでようやく、線路の変更が終了します。脳内で習慣を変えるのも、これと同じだけの手間がかかります。
自分のやり方を根本的に改善したいなら、極端にならなければならないとSivers氏は言います。1つだけでなく、すべてのレンガをシーソーの右側に移動しなければなりません。
ここまでやると、やり過ぎたと思うでしょう。これまでと正反対を向いてしまったと。
しかし、実際は均一になったにすぎません。
極端になっても、昔の考え方の影響は消えません。けっきょく、シーソーの左右に同じ数のレンガが乗っている状態になるでしょう。
それまで私が挑戦してきた改善方法は、レンガを1つ移動していただけでした。
「管理できる」アクションを目指すあまり、自分が必要だと思う程度の改善しかもたらさないアクションで満足してしまっていたのです。それではわずかな改善しか得られず、長期的な変化には不十分でした。
やり過ぎぐらいがちょうどいい
Sivers氏の記事を読んでから、自分の苦手なことについて考えるようになりました。たくさんのレンガをシーソーの反対側に移動するとは、どういうことなのか。きっと、極端に思えるほどの変化で、ようやくちょうどいい結果になるのだろうと実感しました。
そこで、改善したいことのリストを作り、それぞれについて極端な対策を考えてみました。
1. 妻の期待に応えられるレベルで家をきれいにする
我が家は、私の目から見ればほぼいつもきれいです。しかし、妻は違うように感じることが多いようです。ただベッドメイクをするのではなく、「丁寧に」ベッドメイクしてくれたらありがたいのに、といつも言われます。それで妻が気持ちよく過ごせるのであれば、そのレベルに家を保ちたいです。
極端な対策:毎日家の中を見回し、妻の期待を越えるレベルで掃除をする。目標は、「リッツカールトンレベルのきれいさ」を保つこと。
2. 友人や家族ともっと親密になる
私はカナダに住んでいますが、もともとは米国育ちです。遠く離れていても、家族や友人が大事であることは変わりません。それなのに、仕事の忙しさやコミュニケーションの難しさ、そして遠くに住んでいるという事実を言い訳に、連絡を怠ってしまいがちです。
極端な対策:毎日欠かさず、友人か家族の1人に電話する。
3. もっとNoを言う
興奮して、いろいろなことに手を出し過ぎることがあります。それでは集中力を欠き、けっきょく不安を感じてしまいます。だから、もっとたくさんのアイデアに「またあとで」と言えたなら。
極端な対策:すべての新しいアイデアにNoと言う。とはいえ面白いと思ったアイデアを忘れたくないので、リストには残すが着手はしない。
4. 定期的に書く/毎週公開する
普段は毎日何かを書いていますが、ここ数カ月は、あまり時間が取れていませんでした。ライターとしての腕は磨いておきたいし、そのための最良の手段は書くこと。たくさん書く以外に方法はありません。
極端な対策:毎日書いて週に1本公開するのではなく、毎日公開を目指す。
5. 毎日あれこれ心配しない
先日自分に対する実験を行い、ほとんどの日において、平均よりほんのちょっといい気分でいることを知りました。これは、正しい生き方とは言えません。その主要因は、1日にいっぱいやらねばという、自らによるプレッシャーです。そのプレッシャーの大元は、ToDoリストにありました。
極端な対策:これを修復するため、1日でできると感じられる仕事をうまく管理する方法を見つける。極端な解決策は、ToDoリストをまったく使わない。
私は、これら5つのすべてを改善したいと思っています。でも、すべてについて「極端な対策」を同時にすることは難しすぎます。それには、かなりの意思の強さが必要でしょう。多くの研究で、意思の力は低下しやすいことが示されています。特に誘惑が多い状況ではなおさらです。そして、極端な変化を遂げようとすると、たくさんの誘惑が訪れるでしょう。私の意思の力は崩壊し、振出しに戻るのが目に見えています。
ですから、1カ月に1つを選んで、極端な対策を取ることにしました。
研究によると、習慣の構築にはおよそ2カ月かかります。しかし、私が目指しているのは「バランスの取れた」改善であり、「極端な」改善ではないので、2カ月も極端な対策を続けるのはやり過ぎだと考えられます。そこで、1カ月間極端な対策を続けることとし、2カ月目にはもっとバランスの取れたアプローチを取ることに決めました。
最初に選んだ課題は、毎日十分なタスクを終えられないことへの不安です。私にとってこれが最大のストレス源であり、何よりも改善したいと思ったからです。
「極端な対策」は、ToDoリストを使わないことでした。1日に10個から8個や5個といった風に徐々に減らしていくことはしません。やらなければならないことを書き留めることはしますが、毎日チェックして定期的にアップデートするようなToDoリストは一切作りません。毎日1つのことを集中して終わらせるという極端な対策を取るだけにします。
最重要のタスクが済んだら、次に重要なタスクに取り掛かります。でも、すべてのことをやらなければならないというプレッシャーを感じることなく、十分な達成感を感じられるでしょう。
あなたも何かを上手くなりたいと思っているかもしれません。行動を起こし、改善を試みるのは素晴らしいことです。改善を試みれば、自分に、周囲の人に、そして世界に対して優しくなれるでしょう。
でも、挑戦の結果何も改善できなかったとき、ネガティブなエネルギーを抱え込んでしまいます。
そんなとき、ここで紹介した「極端な対策」が改善のお役に立てるといいと思っています。
それがうまくいかなくても、自分につらく当たらないでください。改善を試みただけでも、十分に立派なことをしているのですから。
賛同してくれるなら、あなたも苦手なことを1つ選んで、今のやり方とは180度違うやり方を見つけて、1カ月続けてみてください。
極端になるためのアイデアが必要なら、筆者にツイートしてください。一緒にプランを考えましょう。
An extreme method for breaking your bad habits | Crew blog
Mikael Cho(訳:堀込泰三)
Photo by Vande Walle Ewoud/Flickr (CC BY 2.0).