国際情勢が緊迫し、戦争の脅威が私たちの心に暗雲を投げかけるなか、気にするなというほうが無理というもの。でも、ニュースばかり見て悲観に暮れる必要もありません。「戦争によって、世界が破滅するのではないか」という恐怖は、今にはじまったことではないからです。人々は、第二次世界大戦、あるいはもっと昔から、ずっとそうした不安を抱えて生きてきました。

しかし、現在のような状況下では、セルフ・メンタルケアを行うこと、そして集団パニックを起こさないよう心がけることがとても重要です。BMC Public Healthによると、若者がこうした不安を抱えていると、一般的な精神疾患のリスクが高まるそうです。しかし、ほんのちょっとした心がけで、健全な冷静さを保つことができるので、それらを紹介したいと思います。

以下は、Vantage Point Counseling ServicesのセラピストMichael J. Salas氏がすすめる「不安に襲われた瞬間にできる対処法」です。自分に以下の質問をするのだそうです。

  • その事象が将来起こる場合、今それを案じることが、何かのプラスになるか?
  • その大惨事が起こるという予想は、どんな証拠に基づいたものか?
  • 「注意する」「怯える」「気をもむ」の違いは? この3つの定義は? 選べるとしたら、自分が感じたいのはどれか?
  • その事象について、どんな情報が提示されているのか? 情報源の信憑性は?

こんな自問はばかばかしいと思うかもしれませんが、このように考えることは、実はとても重要なのです。戦争に対する漠然とした不安に気をもんでも、何の足しにもなりませんが、注意することと怯えることは違います。怯えるというのは、恐怖心に支配されることです。そして、あなたの得た戦争に関する証拠や情報は、ニュース番組の評論家などの口から出たものではないでしょうか。

安らぎを手に入れる方法

では、自分ではコントロールできない過剰な不安を振り切るにはどうすればよいのでしょう? ミシガン州バーミンガムの臨床心理学者Jeffrey DeGroat博士に聞いてみました。

まず、こうした心配の種が、なぜあなたの心にそこまで大きな影響をおよぼすのかを理解する必要があります。DeGroat博士の説明によると、こうしたことが頭の中で膨れ上がってしまうのは、本人が多大な時間とエネルギーを費やしている対象が、自分にはどうすることもできない事柄だからだそうです。

自分でコントロールできたらよいが、それがかなわない。あなたは、核兵器をコントロールする立場ではないし、宇宙を操作して小惑星を止めることも、火山に対し落ち着けと説得することもできません。早い話が、未知のものへの恐れなのです。ですがこれは、きわめて正常な心理です。そこで、自分にはどうにもできないことは「気にかけないようにしよう」というのがポイントです。

「心配事を気にかけないなんて無理」という人のために、DeGroat博士は、具体的な実行法を2つ提案しています。1つ目は、行動することです。

たとえば、現在の政治情勢にどうしようもない不安を覚えているなら、思い切って政治に参加してみると、楽になるかもしれません。自分が共感できそうな政治運動や社会運動をいろいろ調べ、参加方法を見つけましょう。「地元地域のイベントに参加する」「インターネットのコミュニティーで意見を表明する」「政治改革や社会改革を促す活動をする」といった方法が考えられます。

それによって、世界を破滅の道から救えるわけではありませんが、そのための活動ではありません。自分ができることに意識を集中させ、状況改善のためにやれることはやったという安らぎを、自分に与えるのが目的です。もちろん、そのようなことでは解消しない心配事もあるはずです。それならば、あとは気を紛らわすしかありません。これが2つ目の方法。

「社会運動や政治運動に参加するのはちょっと」という人は、現在の政治情勢から気をそらす努力をすることです。自分にはどうにもできない環境ストレスから気をそらすには、やり甲斐を感じるアクティビティーに時間とエネルギーを費やすのが1番です。

「遠出して大自然に触れる」「週に1度友達と集まってゲームをする」「家族と一緒に好きなアクティビティーをする」などなんでもいいのですが、5秒ごとにニュースを読むのだけはやめてください。また、気にしないというのは難しいかもしれないので「たまには恐いことだってあるさ」と、自分に寛大になることも大切です。ある感情を抱く自分を責めることで、ストレスが増してしまう場合もあるからです。

最後に「こうした不安を感じるのはあなただけではない」とDeGroat博士は結んでいます。楽になるために、同じように感じている人と気持ちを共有するのもアリです。大切に思っている人とつながり、自分を支えてくれる人と積極的に会話をもちましょう。恐れることも、助けを求めることも、なんら恥ではありません。

そして、今回のような問題には、隠れたプラスの面もあることを忘れないでください。戦争の脅威が高まれば、注目度が上がり、教育や、将来への備えと防止に一層の注意が向けられるようになるでしょう。恐れや不安にも、実は良い面があるのです。

How to Deal With Your Apocalyptic Anxiety | Lifehacker US

Image: Sergey Zaykov/Shutterstock.com

Source: BMC Public Health, Vantage Point Counseling, Jeffrey DeGroat