令和6年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰の科学技術賞（開発部門）をLINEヤフーの3名が受賞

LINEヤフー株式会社（以下、LINEヤフー）の坪内 孝太（「LINEヤフー研究所」 上席研究員）、丸山 三喜也（LINEヤフー ローカル統括本部）、山口 玲弥（同 検索統括本部）の3名が、東京工業大学情報理工学院 下坂正倫准教授、株式会社KDDI総合研究所 小西達也氏とともに、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者に授与される文部科学大臣表彰の科学技術賞（開発部門）を受賞いたしました。業績は、「未知の状況にも対応可能な高精度混雑予測と商用システム開発」（※1）となります。

※1：2018年から2023年までの研究活動および成果に対する受賞

従来の混雑情報提供サービスにおいては、対象地域で観測された人数の過去データをモデル化することによって、混雑情報を提供していました。しかし実際には、曜日、天気、時間帯といった、モデル化にあたって必要な条件の全てが揃った過去データが存在していることは稀であり、特に、過去に観測されていない道の環境をモデル化することは難しいとされてきました。

本開発では、対象地域において求めたい条件下の平常時の人数を、同一地域において異なる条件下の平常時の人数を重み付け加算してモデル化する手法を考案しました。さらに、対象地域の過去データが全く入手できない場合であっても、求めたい条件下の平常時の人数を、実用的な精度で予測する技術を確立しました。その結果、高精度の混雑予測サービスを安定的に提供することが可能となりました。

本成果によって、乗換検索アプリ「Yahoo!乗換案内」の「混雑予報」機能がリリースされ、さらに新型コロナウイルスの拡大によって混雑情報に関するユーザーニーズが急増したことにともない、「Yahoo!乗換案内」、ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」、カーナビアプリ「Yahoo!カーナビ」、地図アプリ「Yahoo!マップ」の4サービスに混雑度表示機能が導入されました。またサービス導入後も継続的に研究を進め、多くのユーザーの利便性向上に寄与しています。近年の研究活動としては、対象地点に加え周辺エリアにまで推定情報を拡大することによる予測性能の向上、予測時間の短縮、混雑終了時間の予測に取り組み、大規模言語モデルの活用についても試みています。

本件の業績をリードしたLINEヤフー研究所は、LINEヤフーのサービス、大学、研究機関と連携して研究開発を行っており、AI、データサイエンス、インタラクション、セキュリティ・プライバシーなどの領域をテーマに、国際学会で多数の論文が採択されるなど、着実な成果を収めております。

LINEヤフーでは、2023年、192本（うち、海外101本、国内91本）の論文を発表しました。（※2）ミッション『「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「！」を届ける。』のもと、これらの研究成果を活用し、サービスの品質向上および利便性向上を図ります。

※2：2023年1月から9月まではLINE株式会社とヤフー株式会社の合算、2023年10月から12月まではLINEヤフー株式会社の発表論文数

受賞業績

科学技術賞（開発部門）：未知の状況にも対応可能な高精度混雑予測と商用システム開発

■受賞者一覧（※3）

坪内 孝太（LINEヤフー株式会社「LINEヤフー研究所」 上席研究員）
丸山 三喜也（LINEヤフー株式会社 ローカル統括本部）
山口 玲弥（LINEヤフー株式会社 検索統括本部）

※3：本受賞は東京工業大学情報理工学院 下坂正倫准教授、株式会社KDDI総合研究所 小西達也氏を含む5名での受賞

「LINEヤフー研究所」について

LINEヤフー株式会社の発足にともない、ヤフー株式会社で先進的なビッグデータ・AI技術の研究開発を担っていた「Yahoo! JAPAN研究所」と、LINE株式会社でAI、機械学習などの基礎研究を担っていた組織が合併し、「LINEヤフー研究所」として2023年10月に設立されました。

・主な研究領域：AI、データサイエンス、インタラクション、セキュリティ・プライバシー
・公式サイト：https://research.lycorp.co.jp/jp

ご参考

オウンドメディア「LINEヤフーストーリー」における、受賞者インタビュー記事

・アイデアと研究がサービスに変わる瞬間は？　研究者とサービス担当者の共創
https://www.lycorp.co.jp/ja/story/20240529/randd.html

・位置情報の研究を通じてサービスをより便利に　ユーザーの「理解」から「超理解」へ
https://www.lycorp.co.jp/ja/story/20240117/location.html