今回は「若年から老年まで『ひきこもり』が全国に146万人。放置すれば一家心中や家族間殺人の続発……どうするニッポン!」というテーマでえぐっていきたいと思います。少子高齢化という人口減少下で、生産年齢人口もどんどん減っていく中、働かずに自宅にこもる人が増えてきているのは由々しき問題でしょう。しかし、何で、こんなことになってしまっているのでしょうか。(『 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 』)
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投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。
「50人に1人」がひきこもり
内閣府が2022年11月に行った無作為抽出アンケートによれば、15~39歳で2.05%、40~64歳で2.02%が現在「ひきこもり」状態にあります(アンケートには15~39歳の約7,000人、40歳~64歳の4,300人が回答)。
ここから全国推計に換算すると、15~39歳が62万人、40~64歳が84万人となり、合計すると146万人もの人が、現在の日本で「ひきこもり状態」にある――ということなのです。
わずか4年前の2019年の推計が115万人ですから、コロナ禍があったといえ、たった3年で31万人も増えたことになります。
これは、労働の中核といえる「生産年齢人口(15~64歳)」約7,470万人のうち、ほぼ2%を占めますから、現在この年代の「50人に1人」がひきこもり状態にあるといえるのです。
少子高齢化という人口減少下で、生産年齢人口もどんどん減っていく中、働かずに自宅にこもる人が増えてきているのは由々しき問題でしょう。
しかし、何で、こんなことになってしまっているのでしょうか。
なぜ「ひきこもり」に?
「ひきこもり」になった原因は、仕事や就職に関係するものが多いといわれます。
「職場になじめず退職した」
「病気になった」
「就職活動がうまくいかなかった」
「不登校になった(小.中.高校)」
「人間関係がうまくいかなかった」
「大学になじめなかった」
「受験に失敗した」
……こうしたことがキッカケとなり、「ひきこもり」になったとされています。年齢、性別、職業などに関わりなく、さまざまな要因でこうした状況に陥ります。
とりわけ、近年懸念される問題に「8050問題」があります。
これは、収入のない50代の「ひきこもり」当事者を支える80代の親の高齢化の問題です。親が亡くなれば、年金収入もなくなり、たちまち生活に困窮してしまうからです。
あるいは、ひきこもって家族に暴力をふるっていた息子を、父親が刺し殺すといった事件も起きています(息子が親を殺す逆のケースもある)。
こうした「ひきこもり」は、そもそも学校生活での「不登校」との関連も大きいといわれます。大人の「ひきこもり」の人に学校時代の「不登校経験」が多く見られるからなのです。
今年10月4日に文科省が発表したデータでは、2022年度の不登校の小.中学生が過去最高の29万9,000人に達した――といいます。
ほぼ30万人です。
小.中学生の人口は約630万人ですから、約4.7%に及びます。およそ小.中学生21人に1人が不登校で、この数字はなんと10年前の2.6倍にものぼるのです。
こうした不登校のうち、「病気」による不登校(長期欠席)は7万6,000人(約25%)で、10年前の1.9倍です。
増加の大部分が、「うつ病」などの精神疾患というのですから、ことは深刻です。
困ったことに、同時に教師の精神疾患による離職や休職者数も年々増加中なのです(小中?の公立学校教師の精神疾患による休職者数は2022年末で公立学校の全教職員数の0.64%の5,897人)。