少子高齢化で衰退へ向かう日本では、高齢になっても働かなければならない。これは生涯現役の「強制」であり、死ぬまで働かされる事態に突入したのだ。しかしこの状況でも、幸せに生きる方法はある。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』鈴木傾城)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
我慢して働けば何とか食べていける…そんな時代はとうに終わった
少子高齢化を無策のまま放置したツケが回ってきた
日本は少子高齢化問題に関して「人口を増やす」という正攻法を頑なに取ろうとせず、日本人もまた「先進国は少子になるのは当たり前」と変な達観をして人口を増やすのをあきらめてしまった。
本当は先進国であっても、子どもを生むことに対するインセンティブが働き、子どもを生み育てる環境がきちんと整えば人口が増える。日本は増やせる人口を増やしていない。やるべきことをしないで無策のまま超少子高齢化に突入している。
そして、社会保障費はパンク寸前となって、福祉や医療費や年金はどんどん削減されていき、さらに年金受給年齢も引き上げられようとしている。消費税も強烈なまでに上がっていく。
すべては「少子高齢化を無策のまま放置した」ことに要因がある。
そして皮肉なことに、日本の労働現場では人手が不足するようになって「生涯現役社会」という言葉が提唱されるようになり、日本人は高齢化しても働き続けなければならない社会と化した。
高齢になっても働かなければならない。これは、生涯現役の「強制」である。自分の意思がどうであっても、死ぬまで働かされる事態に突入したのだ。
いよいよ「生涯現役社会」が強制に
アメリカのみならず、ほぼすべての国は「アーリーリタイアこそが幸せなこと」という意識がある。そして、アーリーリタイアできた人が人生の成功者であると認識されている。
40代で引退(リタイア)して、ハワイかフロリダのどこかでくつろぎながら生きる。あるいは、収入を度外視してボランティアや趣味で自分の好きなことを追求して生きる。要するに「好きなことをして生きる」のだ。
しかし、日本では「アーリーリタイア」という生き方はまったく一願にもされないし、身近に「アーリーリタイアした」という人を見かけることもほとんどない。では、日本人は「アーリーリタイア」に興味がないのか。
いや、そうではない。
日本人もまた心の底では「カネのためにあくせく生きるのではなく、自分の好きなことをしてのんびり生きたい」という気持ちを持っている。
しかし、日本人はそのような気持ちを抑えて、朝早く会社に向かい夜遅くまで働いて、企業にいいようにこき使われて過労死するか過労死寸前にまで追い込まれてまで働く。
そして、いよいよ「生涯現役社会」が強制されるようになり、日本人は文字通り老いて死ぬまで働かなければならなくなってしまった。
人口を増やす施策をまったく取らないで高齢層を死ぬまで働かせるのだから、誰が考えても、こんなやり方では日本の未来が活性化するはずがないと分かるのだが、現実はそのようになってしまっている。
日本人もアーリーリタイアの夢を見ることがあるのだろうが、現実はどんどんアーリーリタイアは非現実と化して、単なる空想の世界の話となっている。