今後の対応
本検討会としては、ゲフィチニブについて、これまで「緊急安全性情報」の発出(10月15日)等により安全確保がなされてきたところであるが、今後より一層安全に使用するための方策として、以下を実施する必要がある。
1 インフォームド・コンセントや情報提供の徹底
- 本剤による治療を開始するにあたり、患者に本剤の有効性・安全性、息切れ等の副作用の初期症状、非小細胞肺癌の治療法、致命的となる症例があること等について十分に説明し、同意を得た上で投与すること。
- 企業による医療機関への有効性および安全性等の適正使用に資する情報提供を徹底すること。
- 企業による副作用情報の収集に対して医療関係者は協力すること。
2 より適切な管理の下での使用の徹底
- 肺癌化学療法に十分な経験をもつ医師が使用するとともに、投与に際して緊急時に十分に措置できる医療機関で行うこと。
- 間質性肺炎が投与初期に発生し、致死的な転帰をたどる例が多いため、少なくとも投与開始後4週間は入院またはそれに準ずる管理の下で、間質性肺炎等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。
3 間質性肺炎、肺線維症、またはこれらの疾患の既往歴のある患者への使用を慎重投与に設定
- 間質性肺炎が増悪し、致死的となる症例があるため、急性肺障害及び間質性肺炎、肺線維症、またはこれらの疾患の既往歴のある患者を慎重投与とする。
4 「服用者向け情報提供資料」の作成等
- 間質性肺炎等発生時の処置が手遅れとならないよう、「服用者向け情報提供資料」を適正に作成し、副作用発現数や死亡例について具体的に記載するなど、患者・家族等に受診を促すよう直接の注意喚起を徹底すること。
5 企業による市販後安全対策の強化
- 承認条件として附された間質性肺炎等の科学的究明等の試験研究を早急に実施するとともに、その原因究明のための専門家による検討会等を設置し、それらの検討結果について逐次報告すること。
- 企業における重篤な副作用情報の収集や医療機関等への情報提供等の実施方法について再検討するとともに、間質性肺炎・急性肺障害の発現危険因子、およびハイリスクの患者背景等を明らかにするためのプロスペクティブな調査・分析を行うこと等により、本剤の適正使用を推進すること。