福岡大臣会見概要

(令和6年12月13日(金)8:29~8:37 院内大臣室前)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
まず私から冒頭申し上げます。補正予算の審議等で何度もご質問いただいていたことですが、能登地震における医療・介護等の財政支援についてです。令和6年能登半島地震による被災者等の医療・介護・障害福祉については、医療機関の窓口での一部負担金や介護サービス等の利用料の支払いを市町村等が免除した場合に、その免除分を国が財政支援しており、その対象は本年12月までとしておりました。その後の支援につきましては、今般、被災状況や市町村等の意向、過去の災害における支援状況等を勘案し検討した結果、要件等を一部変更の上、令和7年6月まで半年間延長することといたしました。詳細は、後ほど事務方にご確認いただきたいと思います。
続きまして、マイナ保険証の直近の利用状況について申し上げます。今般、12月2日より、マイナ保険証を基本とする仕組みへと移行したところですが、マイナ保険証の利用状況は、月ごとに定期的に集計し、公表しています。11月のマイナ保険証利用件数は3,998万件、利用率は18.52%でした。その上で、12月2日から8日までの利用状況について、移行当初の状況を把握するため速報値として特別に集計したところ、マイナ保険証の利用件数は1,747万件、利用率は28.29%となっております。これまでもご説明している通り、マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行にあたっては、マイナ保険証をお持ちでない方に、保険証が使用できなくなる前に、資格確認書を申請によらず発行するなど、マイナ保険証をお持ちであるかどうかに関わらず、全ての方が安心して保険診療を受けられる環境整備に取り組んでいきます。
今日の閣議で、「令和6年版死因究明等推進白書」を決定しました。本白書は、死因究明等推進基本法に基づき、毎年、国会に報告する法定白書です。今回の白書では、令和3年6月1日に閣議決定された「死因究明等推進計画」に基づいて令和5年度中に政府が講じた施策を報告しています。今後とも、安全で安心して暮らせる社会及び生命が尊重され個人の尊厳が保持される社会の実現に向けて、関係省庁と連携しながら、死因究明等の推進に全力を挙げて取り組んでまいります。私からは以上です。

質疑

記者:
年金制度改革についてお聞きします。10日の年金部会では多くのテーマが話し合われ、いわゆる106万円の壁については賃金要件を段階的に撤廃の方針で意見が概ね一致しました。こうした方針で将来の年金受給に関しては安定するものの、一部の人では手取りが減ってしまうことを心配する声があります。物価高が続く中、こうした方針の決定について、大臣のご所感をお願いします。
大臣:
ご指摘の賃金要件については、全ての都道府県において、最低賃金が、週20時間以上働いた場合に年収が106万円を超える水準まで引き上がれば、要件として設定する実質的な意味を失うことになると考えています。本賃金要件の撤廃については、最低賃金の動向等を踏まえつつ、撤廃時期に配慮することとあわせて、先日の社会保障審議会年金部会においてご議論いただき、概ねご賛同いただいたものと承知しています。併せて、被用者保険に加入した場合の年金や医療の給付が充実するメリットについて、積極的に周知・広報を行っていくことが重要であると考えています。引き続き関係者の方々のご意見を伺いながら、年末に次期年金制度改革の方向性を取りまとめられるよう、丁寧に対応していきたいと思います。
記者:
このほかにも改革に向け議論が進んでいる中ですが、年内に全ての取りまとめを行えるのか、見通しをお願いいたします。
大臣:
今申し上げた通り、関係者の方々のご意見を踏まえながら、年末に方向性が出せるように進めていきたいと考えています。
記者:
冒頭発言のマイナ保険証に関してお伺いします。12月2日以降の利用率、公表がありましたが、この伸びた背景と、そちらに対する評価、率直に大臣としてのご感想を伺えればと思います。
大臣:
12月2日以降の1週間で利用率が28.29%と上昇したということは、先ほど申し上げた通りです。マイナ保険証の利用促進に向けて、これまでも各種媒体を通じた広報を継続的に実施してきたところですが、それに対する一定の効果が表れているものだと考えています。加えて、直近でマイナ保険証の利用登録数の増加幅が大変拡大しています。本年3月時点では前月比で約36万件の増加であったところ、10月時点では約120万件、本年11月時点では約127万件と増加してきており、こうした状況も利用率上昇の1つの要因となっているのではないかと考えています。
記者:
年金制度改正のマクロ経済スライドの調整期間一致に関してお伺いします。10日の年金部会の資料によりますと、2040年度まで、モデル年金の給付水準が現行制度の見通しを下回る、調整期間の一致を実施した場合ですが、ということが示されましたが、2040年度までに亡くなられた場合は、厚生年金受給者の給付水準が現行制度より原則下がるということに、一部、懸念の声を示されるところもあります。こちらについて、大臣はどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。また、調整期間一致というこの制度改正、これを実施することの意義について、今後どのようにお伝えされていきますでしょうか。
大臣:
改めて言うまでもありませんが、マクロ経済スライドについては、賃金・物価に連動して上昇する年金額の伸びを、一定程度抑制する仕組みです。仮に基礎年金のマクロ経済スライド調整の早期終了を行った場合、報酬比例部分の調整期間は現行制度の見通しよりも長くなりますが、一方で基礎年金の調整期間は大幅に短縮されるわけです。現在、社会保障審議会年金部会において、今、いろいろご指摘があったような懸念点や、基礎年金の給付水準の増加など様々な試算データをお示しし、ご議論いただいているところです。現時点で具体的な方向性が定まっているわけではありませんが、仮に見直しを行った場合の影響は、今後の社会経済状況によって大きく変わり得るものだと考えています。現在、政府をあげて経済成長を目指していますが、仮に経済成長が継続すれば、その影響はより小さくなると考えています。引き続き、高齢期の所得保障や年金制度の所得再分配機能の強化といった観点から検討を進め、年末に次期年金制度改革の方向性を取りまとめられるよう、丁寧に対応していきたいと考えています。
記者:
医師偏在対策について検討会の取りまとめ案が示されました。取りまとめ案についての大臣のお考え、受け止めをお聞かせください。また、医師偏在を解消する意義について改めて教えてください。今後、厚生労働省としてどのように対策を進めるのかについても、改めて大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
医師偏在対策については、これまで、医療関係者や自治体、保険者の方々、様々な関係者から構成される「新たな地域医療構想等に関する検討会」を中心にご議論をいただいてきたところです。その中で、経済的インセンティブや、地域の医療機関の支え合いの仕組み等を組み合わせた総合的な対策を進めるべきといった考え方のもと、幅広い対策を盛り込む方向で検討が進められていると承知しています。医師偏在の是正については、現在の医療サービスの確保の観点に加え、今後、人口減少が進む中において、将来にわたって地域の実情に応じた地域医療提供体制を確保する観点から、大変重要な課題だと認識しています。厚生労働省としても、今後、検討会のご意見を踏まえ、さらに関係審議会等において関係者のご意見を丁寧にお伺いしながら、引き続き、年末の総合的な対策のパッケージの策定に向けた検討を進めていきたいと考えています。

(了)