福岡大臣会見概要

(令和6年12月20日(金)9:38~9:47 院内大臣室前)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
私から4点ございます。電子処方箋システムの一斉点検の実施についてです。電子処方箋について、医療機関や薬局における設定誤りにより、電子処方箋を受ける薬局側のシステムで、医師の処方と異なる医薬品名が表示される事例が本日までに7件報告されています。このため、医師の意図と異なる医薬品の処方を防ぐため、医療機関や薬局、システムベンダーの皆様に対してシステムの点検を依頼したところです。併せて、本日から24日までの5日間、医療機関からの電子処方箋の発行を停止することとし、本日8時より停止しています。医療機関、薬局、システムベンダーの皆様におかれましては、電子処方箋の設定が正しく行われていることを確認していただき、厚生労働省へ迅速かつ確実にご報告いただくようお願いいたします。
続きまして、令和7年度薬価改定についてです。今月4日に公表いたしました薬価調査の結果や、中央社会保険医療協議会での議論も踏まえ、本日、改定の内容について官房長官及び財務大臣と合意いたしました。改定の対象範囲につきましては、国民負担軽減の観点はもとより、創薬イノベーションの推進や、医薬品の安定供給の確保の要請にきめ細かく対応する観点から、品目ごとの性格に応じて対象範囲を設定することとしました。具体的には、平均乖離率5.2%を基準として、新薬創出等加算の対象品目と後発医薬品についてはその1.0倍、新薬創出等加算の対象品目以外の新薬についてはその0.75倍、長期収載品はその0.5倍、その他医薬品はその1.0倍をそれぞれ超える医薬品を改定対象としました。同時に、薬価改定基準の適用についても、創薬イノベーションの推進の観点から、追加承認品目等に対する加算を臨時的に実施するほか、安定供給確保が特に求められる医薬品に対して、臨時的に不採算品再算定を実施するとともに、最低薬価を引き上げることとしました。あわせて、今回の改定に伴い、新薬創出等加算の累積額については控除することとしました。今後、この3大臣での合意を踏まえて、中医協においてさらに具体的な議論を行うこととしております。本日の中医協後には、事務方からブリーフィングを行いますので、詳細はそちらでお尋ねいただければと思います。
3点目、地方版政労使会議の開催についてです。賃上げの強力な流れが地方にも波及するよう、「賃金引上げに向けた取組」を主たるテーマとして、都道府県と労使代表者らが集まって協議する「地方版政労使会議」を、来週23日、月曜日からスタートさせます。23日には1番手として、岐阜県で開催されます。当日は、古田肇岐阜県知事など政労使のトップが集い、賃上げや価格転嫁等の取引適正化に向けた機運の醸成について話し合われる予定です。厚生労働省としては、これを皮切りに、全国の都道府県において、来年の1月、2月を中心に順次開催し、各地域における賃金引上げの機運醸成に強力に取り組んでいきたいと考えています。
「防災立国推進閣僚会議」についてです。先ほど、石破総理をトップとする「防災立国推進閣僚会議」が開催され、人命最優先の防災立国を早急に構築するため、令和6年能登半島地震の教訓を踏まえた災害対応の強化や、令和8年度からの防災庁設置を見据えた政府の組織体制強化に向け、関係行政機関の緊密な連携を確保し、その効果的かつ総合的な推進を図ることについて確認がなされたところです。私からは、厚生労働省として、災害から国民の命や健康を守るため、能登半島地震における対応を踏まえ、保健・医療・福祉の各チーム間の連携強化や、施設の防災・減災に取り組んでいくことについて報告をしました。私からは以上です。

質疑

記者:
2点質問させてください。生活扶助基準の見直しについて500円程度引き上げる方向で検討に入ったと一部報道がありますが、当事者の一部からは、物価高の中、あまりに少なすぎるとして、13%以上の引き上げを求める声が上がっています。この声に対する受け止めと基準の引き上げに関する検討状況についてお聞かせください。
もう1点は、先ほど冒頭発言でもありました電子処方箋の記載誤りの件です。報告が7件あったことが昨夜発表されました。薬剤師などが気づいたことにより患者への健康被害はなかったとのことですが、重大な健康被害を及ぼす可能性もある出来事が起きたことについての受け止めと今後の対策を改めてお願いします。
大臣:
ご指摘の報道については承知しています。生活扶助基準については、一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られるよう、5年に1度の頻度で社会保障審議会生活保護基準部会において検証を行い、社会経済情勢等も勘案して設定しています。令和7年度以降の生活扶助基準については、来年度予算の編成過程において検討しているところであり、検討中の内容については、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
また、電子処方箋の記載誤りの件です。冒頭に申し上げた7件については、いずれも医療機関または薬局において事前に確認することができたため、実際の調剤には至っていないものです。しかしながら、今回の事案は健康被害が発生しうる、大変重要なものと受け止めており、医療機関等に対して、電子処方箋のシステムについて一斉点検をお願いするものです。国民の皆様に必要な医薬品を確実にお届けすることができるよう、万全を期してまいりたいと思います。
記者:
冒頭発言でございました薬価改定の方針について伺います。今回、メリハリをつけた対応ということですが、対象品目はどれくらいになるのかということと、大きな論点となっておりました医療費の削減効果、財政効果についてはどの程度見込まれているか教えてください。
大臣:
令和7年度薬価改定について、今月4日に公表した薬価調査の結果や、中央社会保険医療協議会での議論も踏まえ、本日、改定の内容について、官房長官及び財務大臣と合意したところです。平均乖離率が5.2%まで縮小している中でも、国民の保険料負担の軽減と、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の要請に応えることの両立が重要であるということから、今回の改定では、改定の対象範囲や改定基準の適用について、こうした観点からメリハリのついた対応になったと認識しています。品目数等については、まだ精査中であり、お答えできる段階にございません。詳細等についてはブリーフィング等でご確認いただければと思います。また、薬価改定のルールの適用についても、メリハリのついた対応の観点から、これまで通常改定でしか適用されていなかったルールを、臨時的に適用することとしたところです。
記者:
財政効果についてはいかがですか。
大臣:
それもこれからです。

(了)