最新記事

バイデン新大統領

「大覚醒でトランプ続投」の予言が裏切られ、Qアノンは失意のどん底

QAnon Followers Express Disappointment on Social Media After Inauguration

2021年1月21日(木)14時52分
ナタリー・コラロッシ

Qアノンの信奉者たちは「トランプ続投」の大逆転を信じてきた REUTERS/Cheney Orr

<陰謀論者は常に外れた予言を都合よく無視するので、Qアノンもそう簡単になくならないという専門家の声も>

ドナルド・トランプ前米大統領を支持してきた陰謀論集団「Qアノン」は、1月20日にジョー・バイデンが無事第46代米大統領に就任したことに落胆している。

謎の陰謀論者「Q」を信奉するQアノンのフォロワーたちはこの数週間、バイデンの大統領就任によって「大覚醒」が訪れると信じてきた。「大覚醒」とは、トランプが遂に、アメリカを陰で操る「ディープステート(闇の政府)」や児童買春集団の世界的ネットワークを暴露し、2期目の続投を決める日のことだ。

だがバイデンの大統領就任式が何事もなく終了したことで、一部の信奉者は「騙された」と感じ、失望している。

インターネット上にあるQアノンの複数のチャットルームには、大覚醒が実現しなかったことについて「悲しいし混乱している」という書き込みや、トランプが自分たちを「裏切った」と憤りをあらわす書き込みが寄せられた。

ある人物は「全てが終わったが、まったく納得できない」と投稿。そのほかの複数の人物は、Qアノンはもう「終わった」として、仲間たちに「目を覚ます」ように促した。また別のQアノン信奉者は暗号化メッセージアプリ「テレグラム」上にあるQアノンのチャンネルに「我々がみんなもて遊ばれたなんて納得できない」と書き込んだ。

わずかな希望にしがみつく者も

「Q」本人ではないかと囁かれてきたロン・ワトキンスまでもが、20日にテレグラムにQアノンの投稿の「管理者」を退くと投稿。信奉者たちに「自分たちの生活に戻る」よう促した。

「新しい大統領が就任した。合衆国憲法を尊重するのが、私たちの市民としての責務だ」とワトキンスは書き込み、こう続けた。「この数年間でできた全ての友人や、共に築いてきた幸せな思い出を忘れないで欲しい」

しかし中には、わずかな希望にしがみつこうとする者もおり、彼らは仲間の「アノン」たちに、踏みとどまって今後の(不確実な)展開を待とうと呼びかけた。

「あと数時間、あるいはあと数日踏みとどまろう。もしかしたら彼らには秘密の切り札があって、大覚醒を金曜日まで延ばせるのかもしれない」とある人物は投稿した。「いい加減な情報や否定的な情報で落ち込むべきじゃない」

バイデンが就任宣誓を行った直後、Qアノンのインフルエンサーとして知られる@MajorPatriotは複数のツイートを投稿(その後、彼のアカウントは停止された)。「私たちは今テレビで、アメリカ史上最大の罪が犯される瞬間を目の当たりにした」と書き込み、陰謀論を支持し続けていることを明らかにした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米沖合の石油・ガス開発禁止撤回へ 大統

ビジネス

米12月ISM非製造業総合指数54.1に上昇、投入

ビジネス

英30年債利回り5.246%、98年以来の高水準

ワールド

インドの24年度GDP6.4%増見通し 4年ぶり低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国の宇宙軍拡
特集:中国の宇宙軍拡
2025年1月14日号(1/ 7発売)

軍事・民間で宇宙覇権を狙う習近平政権。その静かな第一歩が南米チリから始まった

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流行の懸念
  • 2
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵の遺族を待つ運命とは? 手当を受け取るには「秘密保持」が絶対
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」
  • 4
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    ウクライナの「禁じ手」の行方は?
  • 7
    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…
  • 8
    「日本製鉄のUSスチール買収は脱炭素に逆行」買収阻…
  • 9
    今年、トランプ流の閣僚人事で開かれる「パンドラの…
  • 10
    プーチンの後退は欧州の勝利にあらず
  • 1
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流行の懸念
  • 2
    真の敵は中国──帝政ロシアの過ちに学ばない愚かさ
  • 3
    早稲田の卒業生はなぜ母校が「難関校」になることを拒否したのか?...「アンチ東大」の思想と歴史
  • 4
    ザポリージャ州の「ロシア軍司令部」にHIMARS攻撃...…
  • 5
    地下鉄で火をつけられた女性を、焼け死ぬまで「誰も…
  • 6
    青学大・原監督と予選落ち大学の選手たちが見せた奇跡…
  • 7
    カヤックの下にうごめく「謎の影」...釣り人を恐怖に…
  • 8
    「これが育児のリアル」疲労困憊の新米ママが見せた…
  • 9
    「日本製鉄のUSスチール買収は脱炭素に逆行」買収阻…
  • 10
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 3
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 8
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 9
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 10
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中