首都圏情報ネタドリ!
- 2024年11月29日
貸切バス大幅値上げの理由は 埼玉・川口 東京・江戸川 台東 観光以外も意外な影響が
- キーワード:
いま観光客を悩ませているのが、バスツアーの価格高騰です。
「コロナ前に比べて5割増しになった」という声も。いったいなぜ?
影響は、観光以外の意外な場所にも広がっています(12/6 掲載している写真について変更しました)。
バスツアーの価格高騰に揺れる現場を取材した「首都圏情報ネタドリ!」の配信はこちら↓
「価格5割増し 希望の日程でバス確保できず」
都内の不動産経営者の団体は、貸し切りバスを使って高尾山を訪れました。
コロナの影響で5年ぶりとなったバスツアー。
しかし、希望の日程のバスが見つからず、以前よりはるかに高い費用になったといいます。
団体旅行の幹事
「コロナ前に比べ1.5倍、少なくとも5割増しにはなっていると思います。水曜日に開催しようと思ったら、その日のバスは埋まっていて、火曜日に1台たまたまあるから、じゃあ1日前だけどその日にやろうということになりました」
貸し切りバスの価格は、コロナ禍の影響で2021年に一時下がりますが、その後は上がり続け、2024年に入るとさらに急上昇。
過去3年間でおよそ3割、上昇しています。
不動産経営者の団体のツアーを手配した、東京江戸川区の旅行代理店です。
35年以上にわたりバスツアーを企画してきた代表の本宮勝則さんによれば、現在の価格上昇の背景には、バス会社の減少があるといいます。
貸し切りバス会社は、2016年のスキーバス事故をきっかけに安全規制が強化されたころからその数が減少。
コロナ禍で、観光業が打撃を受けた時期、さらにその数は減少し、おととしまでの10年でおよそ1000社がなくなったのです。
トミースカイサービス代表取締役 本宮勝則さん
「うちのお付き合いあるバス会社も、3軒は廃業しましたね。大手でも減車したところはありますよ。その規模が半端じゃなかった。のべつまくなし、バス需要がひっ迫している、そんな状況です」
一方、外国人旅行者が増加する中、バスツアーの需要は増え続けています。
東京台東区のインバウンド専門の旅行会社では、いま、海外からのバスツアーの発注が増加し、コロナ前と比べ、およそ2倍になっています。
アジアツーリスト社長 王保中さん
「特にいま多いのが日光。仕事が忙しいから、人も足りないです」
バスの確保が難しいときは、相場より割高の料金を支払い、対応しています。
ツアーの価格を上げても、英語圏をはじめとする顧客は、円安のため影響を感じにくいといいます。
王保中さん
「『値上がりしました』『急な手配なので高くなりますよ』と伝えても、円安なのでドルに換算するとむしろ高くない。海外のお客さんの取引先を増やせれば、多分数字的には伸びるだろうと思っています」
“コロナ前の売り上げに戻らない”バス会社に悩みも
価格の高騰が続くなか、貸し切りバスを運営する会社はどのような状況にあるのか。
埼玉県川口市に営業所を持つバス会社で、仕事の受注や運行管理を行っている稲元秀雄さんは、顧客への電話対応に追われています。
新日本観光自動車 営業課長 稲元秀雄さん
「仕事が増えていますね、今年度は。2日先、3日先の仕事がまだいま入ってくる状況です」
一方で苦労しているのが、運転手の確保。休日返上してもらうなどして、なんとか対応しています。
貸し切りバスの運転手の数は、高齢化などによって緩やかに減少していました。
そしてコロナ禍で仕事がなくなったころからペースが加速し、およそ3割減少。
バス会社の減少以上に、運転手が業界からいなくなってしまったのです。
このため、バスツアーを請け負う価格は上がっているものの、売り上げはコロナ前の水準に達していないといいます。
新日本観光自動車 代表取締役 佐久間洋行さん
「うちもそうですが、コロナでものすごい負債を各社が背負っています。現状ですと、売り上げがまだ1~2割はコロナ前よりは戻っていない。バスというのは人で動かすものですから、動かす人がいなければ売上もついてこないというのが現状です」
バスツアーの価格高騰の影響は、教育現場におよんでいることもわかりました。問題解消のための模索とあわせて、後編の記事で詳しくお伝えします。
バスツアーの価格高騰に揺れる現場を取材した「首都圏情報ネタドリ!」の配信はこちら↓