日本ハム新庄剛志監督(53)が6日、沖縄・名護キャンプで「新庄森本スペシャルプレー」の継承を指示した。左中間や右中間を抜けそうな打球に対して、捕球した選手がカバーに入った選手にトスして素早く内野へ返球する連係プレーのイメージを外野陣に注入。現役時代に森本外野守備走塁コーチとのコンビで打者走者の二塁進塁を防いでみせた伝説の外野守備を練習させ、いつでもビッグプレーを出せる準備を始めた。
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日本ハムの外野陣が、サブグラウンドの三遊間へ集められた。それぞれ三塁と遊撃の位置に分かれ、森本外野守備走塁コーチが三遊間を抜けそうな打球をノック。三塁のポジションに入った万波は打球を捕球すると、遊撃からカバーに入っていた五十幡にボールをトス。五十幡はすぐに投げる体勢をつくった。その逆パターンも含めて練習に取り組む様子を、新庄監督も遠巻きにチェックした。
外野陣が三遊間で繰り返した、かつて元中日の井端氏と荒木氏の“アライバ”コンビが二遊間で見せたような、華麗な連係プレーの練習。その意図を、森本コーチが明かしてくれた。
「捕球するのにいっぱいいっぱいの打球をセンターとレフト、センターとライトの連係で捕った方が(カバーに入った方へ)トスして(二塁へ)投げる。ボス(新庄監督)と僕はやったことがあって何回か成功している。それを(新庄監督が)やらせてって」
05年6月2日の巨人戦(札幌ドーム)の2回だった。打者高橋由が左中間を抜けそうな打球を放った。それを左翼森本が好捕すると、カバーに来ていた中堅新庄へグラブトス。新庄はボールを受け取ってすぐに二塁へ返球し、高橋由を一塁へくぎ付けにした。
当時の見事な連係プレーを覚えていた新庄監督はこの日、外野陣に練習させることを指示した。森本コーチも「20年前ですよ。よう覚えているよね」と記憶の片隅から掘り起こし、当時の感覚を伝えながらイメージを植え付けていった。
ちなみに、現役時代は森本コーチも「練習していなかった」という「新庄森本スペシャルプレー」。とっさの判断で飛び出したビッグプレーを「ボスは意図的にできるようにして」と指示している。日本一を目指すシーズン。年に1度あるかないかのビッグプレーでも、準備を怠らない。【木下大輔】
◆日本ハム新庄監督のキャンプ珍練習 監督就任直後の21年秋キャンプでは、グラウンドに招き入れたワゴン車の屋根に上がり、バットを水平に構えて低く強い送球を意識付けする練習を実施。22年春には打者の目慣らし用に総額500万円のバーチャル投球マシンを導入。阪神時代の藤浪、現役時代の新庄監督らの投球映像が流れた。23年春は初日に実施した紅白戦での試合中に左翼には森本外野守備コーチ、中堅には新庄監督、右翼には稲葉GM(現2軍監督)がそれぞれの守備位置で密着指導した。