<大相撲初場所>◇3日目◇14日◇東京・両国国技館
新弟子らによる前相撲が始まり、元武蔵丸の武蔵川親方のおい光武蔵(ひかるむさし、19=武蔵川)は、元朝青龍のおい天狼星(てんろうせい、18=錣山)との元横綱の親族対決に敗れ、黒星デビューとなった。光武蔵は立ち合いから、同じ米国ハワイ出身のおじや、元横綱曙(故人)をほうふつとさせる突き、押しで前に出た。ハワイではアメリカンフットボールにいそしみ、相撲未経験と思わせない迫力で主導権を握りかけたが、突き返されると勢いを止められた。意を決して再び前に出たが、前のめりになったところを突き落とされた。
それでも取組後は開口一番「楽しいです」と話し、笑顔を見せた。一昨年8月に来日し、昨年11月の九州場所前の新弟子検査に合格した。光武蔵は米国、天狼星はモンゴルと、外国籍とあって、ともに興行ビザ取得後の今場所デビューとなった。満を持して立った本土俵だけに、敗れた悔しさ以上に喜びをかみしめている様子だった。
体重は新弟子検査当時の129キロよりも、早くも5キロ増えて134キロになった。181センチの身長も、まだ伸びているという。まだ日本語はたどたどしいが「ちょっと緊張した。(武蔵川)親方には『まわしを取ったらダメ』と言われています」と、一生懸命、胸の内と現状を説明した。好きな日本の食べ物は「とんこつラーメン!」と即答。「替え玉は何個?」と問われると「6回」と答え、ニヤリと不敵に笑った。九州場所の部屋宿舎で生活していた際、出会った味が忘れられないようだ。
武蔵川親方については「厳しい。アメフットは楽しいけど、相撲のトレーニングは全然違う」と、身内だからこそ、むしろ他の弟子以上に、厳しく指導を受けているようだ。そんな期待に応えようと、全体稽古後に自主的にてっぽうを「300回とか400回」と、やり続けている努力家。「将来は幕内で?」と問われると「まだ分からない」と謙遜したが、回転の速い突っ張りに、計り知れない潜在能力の一端をのぞかせた。