クラウドや人工知能(AI)の普及が世界の電力システムを揺らしている。データセンター(DC)や半導体工場の新設が各地で進み、局地的に電力需要が急増しているためだ。日本の電力需要は減少傾向が続いていたが、2023年度を底に増加に転じ、34年度までの10年間に6.2%増える見通し。火力発電で電力需給のギャップを埋め合わせる動きもあり、脱炭素に逆行する懸念がある。
データセンターの急増が電力システムや脱炭素の動きに与える影響を、3回の連載で分析します。次回は4日に掲載します。...
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データセンター開発、台湾などが制限 生成AIで電力不足
データセンター(DC)の新規開発を制限する動きが世界で広がっている。台湾は電力不足を理由に大型施設の新規開発にストップをかけた。DCの消費電力は、膨大な計算が必要な生成AI(人工知能)の拡大で年々増加しており、電力網整備との両立が各国・地域の課題になっている。 安い電力求めマイクロソフトが新設 「国民の生活を守るために、台湾北部のDCに(新規の)電力供給ができなくなった」。台湾の経済部(経済産
火力発電で再エネ補完力 Jパワー、「負荷変化率5倍」
Jパワーや三菱重工業は再生可能エネルギーに対する火力発電所の補完力を高める。発電出力を増減させるスピードを示す「負荷変化率」を約5倍に向上させ、太陽光発電などの出力変化に迅速に反応できるようにした。脱炭素の移行期に存在感を示し、既存発電所の生き残りを模索する。 負荷変化率 発電出力を一定の時間で増減できる大きさを示す比率。各電源の調整力を評価する指標となる。ある発電設備が1分間で変えられる出力を、
Jパワー・菅野社長、脱炭素火力「50年代でも2〜3割必要」
石炭火力発電所への逆風が強まっている。6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)では2030年代前半にも二酸化炭素(CO2)排出削減対策をとらない石炭火力を廃止する方針を決めた。石炭火力の発電能力で国内2位のJパワーの菅野等社長はNIKKEI GXの取材に応じ、「電力需給を調整するため50年代(の電源構成)で2〜3割程度は火力が必要になる」と語った。アンモニア混焼やCO2の回収・貯留(CCS)で排