はじめに
こんにちは。NTTPCコミュニケーションズの大野と申します。法人向けVPNサービス、セキュリティサービスなどのサービス企画を行っております。
本記事では「閉域型VPN」へのNTTPCのチャレンジ、今後の展望について紹介いたします。
そもそもVPNとは?
なんで“Virtual”?
みなさん、“VPN(ブイピーエヌ)”って聞いたことあると思いますが、どんなものか知っていますか?Webで検索すると“Virtual Private Network”の頭文字をとって、“VPN”です。
第三者に知られたくない情報は守りたいですよね。企業が取り扱う顧客情報やビジネスで利用するための研究内容などの企業機密の情報は第三者に絶対に漏らしたくないですよね。
そういう情報は第三者が関与できない“専用ネットワーク”で通信したいと思います。
「専用ネットワーク」は文字通り、個人や企業の通信に必要な設備を個人や企業専用に構築して運用する必要があります。ただ、専用の設備は、ものすごい費用を負担しないといけません。
だから、仮想的に(=Virtual)に“専用ネットワーク”を構築して費用を安くしよう、から“VPN”が利用されるようになりました。
“VPN”の種類
VPNにもいろんな種類がありますが、今回は企業のインフラに利用されるVPNについてお話ししたいと思います。
一般的にはざっくり2種類のVPNがあり、インターネットを経由しないでVPN通信を行う「閉域型VPN」とインターネットを利用してVPN通信を行う「インターネット型VPN」です。「閉域型VPN」は一般的には通信品質が高く、通信速度も契約した帯域で利用できるメリットがありますが、その分利用料金が高くなってしまうデメリットがあります。一方「インターネット型VPN」はインターネット経由で通信を行いますので、個人や企業など不特定多数の利用者がたくさんいますので、通信速度や品質が一定ではないというデメリットがありますが、その分安く利用できるメリットがあります。
「フレッツ」を利用した新しい閉域型VPNサービス
セキュアインターネットVPNの提供開始
でも利用者の気持ちになると、「通信品質がそこそこあって、インターネット経由しないけどインターネット型VPN相当の料金で利用できるVPNがあったら、使いたい」と思われますよね。その利用者、マーケットの気持ちに応えたのがNTTPCでした。
みなさんがご自宅でよく利用されるブロードバンド回線「フレッツ」を利用したVPNは“インターネット型VPN”となっており、「フレッツ」は一般的に“閉域型VPN”では利用できませんでした。NTTPCは独自の技術、独自の設備で「フレッツ」を利用できる“閉域型VPN”にチャレンジし、「セキュアインターネットVPN」の提供開始いたしました。
先“苦”者の苦労
今でこそ「フレッツ」を利用した閉域型VPNは一般的になってきておりますが、リリースした当時はNTTPC独自設備だったこともあり、どのキャリアも経験したことのない設備トラブルや運用トラブルなどでお客さまにもご迷惑をおかけすることも結構ございました。しかしながら、このトラブルの経験をもとに、品質改善を懸命に行うことで、お客さまの期待にもこたえつつ、さらにこれまた誰も実現してなかった“IPoE(IP over Ethernet)”を利用した“セキュアインターネットVPN HighSpeed”もリリースし、お客さま通信用途拡大にともなう通信速度向上にも応えていきました。
VPNサービスの移り変わり
インターネット利用がビジネスには不可欠に
ちょっと前までは、企業におけるインターネット利用はWeb閲覧やメールのやりとりができれば十分でした。みなさんも何気なくインターネットは利用していると思います。例えば写真を撮ったらSNSにアップするとか、家計簿アプリやスケジュールアプリを家族でシェアしているとか。企業においても、同様でインターネット上のクラウド利用が業務上当たり前になってきて、インターネットが必要不可欠になりました。またコロナ禍の影響でリモートワークが拡大してきて、自宅のインターネットで業務をされることもかなり多くなってきたと思います。その結果、従来の“VPN”では力不足になってきました。
SASEやゼロトラストの登場
インターネット利用を前提にしたことで、従来の“VPN”で採用されてきた“境界防御”が通用しなくなってきました。“境界防御”とは企業のネットワークとインターネットの境界にFW(ファイアウォール)やUTM(統合脅威管理)を設置することでセキュリティを確保する考え方です。
リモートワークが進んだことと、重要な情報をクラウドに保存していくことから、“境界防御”ではセキュリティを確保できなくなってきました。さらにクラウド利用拡大により、インターネットトラフィックが増大し、いままで発生してこなかったネットワークがつまる“輻輳(ふくそう)”が発生して業務に支障が出始めてきました。そこで登場してきたのが、“SASE(サシー)”や“ゼロトラスト”の考え方です。SASEとは“Secure Access Service Edge”の頭文字をとって“SASE”です。VPNやリモートアクセス、セキュリティをクラウド上で包含的に提供していく考え方です。また“ゼロトラスト”とは“ゼロ=0”と“トラスト=信頼”の組み合わせで、すべての通信を信頼しないでユーザー認証などでセキュリティを画する考え方です。今後の企業ネットワークはこのSASEとゼロトラストを意識したネットワークに移行していくことになります。
今後のNTTPCのVPNサービス
“ヒト”がいない
企業ネットワークはSASEとゼロトラストを意識したネットワークに移行していく、と記載しましたが、それを実現できるIT技術者は慢性的に不足しており、今の日本では劇的に増える見込みもないと思います。VPN通信もインターネット通信もクラウド利用もセキュリティ確保もリモートワークも実現しないといけないにも関わらず、“ヒト”がいないのです。
企業ネットワークの運用にクローズアップしたサービスにチャレンジ
“ヒト”をすぐに増やすことはできませんが、“ヒトの運用”を減らすことはできると思います。NTTPCでは“ヒトの運用”を減らしていくことができる新しいサービス「Prime ConnectONE®」をリリースいたしました。まだまだ開発中ではありますが、従来“ヒト”が運用したものをAIなど活用して、“ヒトの運用”を減らせるサービスにチャレンジしてまいりますので、ご期待ください。
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※「フレッツ」等はNTT東日本・NTT西日本の登録商標です。
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※Prime ConnectONEは株式会社NTTPCコミュニケーションズの登録商標です。
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