連載第2回の今回はポメラ(キングジム)を取り上げたい。 これをデジアナ文具に分類することにはもろもろ意見があるだろう。本稿では、1.文具メーカーから発売されている2.基本的にスタンドアローンで使うさまがノートなどの文具に似ている という2つの点を根拠としてデジアナ文具の一角を占める存在と考えたい。 ポメラは、登場当初の折りたたみ式キーボードや、QRコードでテキストを取り込むギミックが先行してか、どうにもアクロバティックで機能が限定されたガジェットという印象が強い。だが、内蔵された各種機能や専用アプリを使ってスマートフォンと組み合わせると、とても便利なツールだ。 最新モデルとなるDM200の場合、液晶ディスプレイ+OS+エディター+日本語入力プログラム(ATOK)であり、専用アプリ(との連携。またクラウド各種ツールとの連携)、内蔵メモリーなどで構成されている。さらにBluetooth機能を利用することで、スマートフォン経由でクラウド上の文書を直接編集できる。■ポメラの文字入力機能をブラッシュアップする 今回は、まず文字入力機能をブラッシュアップする方法について説明する。 ユーザーならばご存じのように、ポメラ内蔵のATOKはDM200になって格段の進歩を遂げた。機能そのものもそうだし、オプションで参照できる辞書も増えた。だがそこに含まれない特殊な用語を入力するのはむずかしい。たとえば歴史書「史記」に登場する古代中国の人物名はそのままでは入力しづらい。 今回は、パソコンの特定のファイルから学習したATOKの辞書をインポートして、特殊な語彙をポメラでも利用できるようにしたい。パソコン側のATOKは「2017」だ。また今回はデータのインポートにSDカードを利用した。 まずWindows版のATOKの機能を利用する。ここでは、筆者が現在学習している「倭国伝」に登場する用語を学習するために、そのファイルがあるフォルダを指定して学習させる。フォルダを指定して右クリックして出てくる「ATOKで学習する」をタップすると、そのフォルダ内のテキストやWord、一太郎ファイル内の単語が学習される。 それからATOKの「辞書ユーティリティ」を起動。これはタスクバー内のATOKの「あ」のアイコンを右クリックしてATOKメニューから選択する。メニューバーの「単語・用例の一覧出力」を選択。ここでSDカード内にpcatok.txtのファイル名でエクスポートする。 そしてSDカードをポメラに挿入し、電源を入れてから「単語登録」→「インポート」を選ぶと、pcatok.txt内の単語がポメラ本体に学習される。 この方法はポメラの補助辞書がサポートしていないような特殊ジャンルの単語を使った文書作成に有効だ。もしDM200の語彙に満足していない場合は是非試してほしい。※連載第1回はこちら<今回紹介した手順のまとめ>1.パソコンのATOK2017で、「史記」関連のファイルがあるフォルダを右クリックする。フォルダを右クリックして「ATOKで学習する(A)」を選ぶ2.ATOKの辞書ユーティリティーを起動して、「ツール」→「単語・用例一覧の出力」を選び、学習した結果をSDカードに「pcatok.txt」のファイル名で保存する3.SDカードをパソコンからポメラに移動。ファイルをインポートする【著者】舘神龍彦手帳評論家、ふせん大王。最新刊は『iPhone手帳術』(エイ出版社)。主な著書に『ふせんの技100』(エイ出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)『意外と誰も教えてくれなかった手帳の基本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『手帳カスタマイズ術』(ダイヤモンド社)など。また「マツコの知らない世界」(TBS)、「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)などテレビ出演多数。