酷暑が続く中、佐賀新聞「こちら さがS編集局」(こちさが)が実施した暑さ対策に関するアンケートでは「ペットのための情報発信もしてほしい」(50代自営業女性・佐賀市)との意見も寄せられた。ペットの対策について、なかの動物病院(佐賀市)の中野律子獣医師に聞いた。(志垣直哉)
-犬や猫も熱中症になる?
犬も猫も汗腺が足の裏しかなく、汗をかくことが苦手だ。ハッハッという呼気で体温を下げる。どちらも熱中症になるが、圧倒的に犬がなりやすく、特にパグやフレンチブルドッグなど、鼻の短い犬種はリスクが大きい。高齢や肥満、心臓や肝臓、腎臓に病気があると重症化しやすい。
-適切な環境は。
室温は25度以下が望ましい。私たちが1枚羽織ってちょうどいいくらいがよく、27、28度では厳しい。汗をかけないから、閉め切った部屋で扇風機だけではいけない。周りの空気を冷やすイメージがいい。
屋外では日陰が必要だ。日が傾いても日陰が保てるようにしたい。リードが絡まって日陰に行けず、熱中症になるケースもある。
-散歩の時の注意点は。
早朝のまだ涼しい間で、時間も短めがいい。肉球をやけどするので、アスファルトの温度は触って確認を。小型犬は、地面からの放射熱をもろに浴びる体だ。日中でも散歩に連れて歩く姿を見ることがあるが、危険だ。
-熱中症のサインは。
荒い呼吸やよだれ、食欲低下など。重症化するとけいれんや下痢、起立不能などを起こす。体を冷やしながら病院へ。水も飲めるなら飲ませてほしいが、誤嚥(ごえん)のリスクもあるので、無理に飲ませるよりは点滴がいい。夕方に散歩させて、夜に具合が悪くなり、病院も閉まっているということがよくある。
-水分や塩分は。
水分はすごく大事だ。水入れを自分でひっくり返してしまうこともあるので、もう一つ用意したり、ひっくり返さない工夫を。塩分はごはんにおおむね入っているので気にしなくていい。
-飼い主に呼びかけたいことは。
予防できる病気で命を落とせば、悔やんでも悔やみきれない。エアコンの電気代は必要経費と思ってほしい。