「言論の自由」を掲げ米ツイッターを買収した実業家、イーロン・マスク氏の経営改革が波紋を呼んでいる。「左派リベラル寄り」と批判されてきた交流サイト「ツイッター」の運営方針を転換し、トランプ前大統領のアカウント凍結解除や従業員の大量解雇に乗り出したことなどが反発を招いたためだ。改革は是か非か。ツイッターで情報発信を続け、40万人のフォロワーがいる国際政治学者の三浦瑠麗氏に話を聞いた。(聞き手 菅原慎太郎)
――マスク氏のツイッター改革をどう評価するか
「言論の自由を拡大させたと思う。以前のツイッターは、女性への憎悪の投稿(ツイート)などを積極的にBAN(バン)=利用停止など=してはいたが、一方で『なぜ、こんなもので…』という例も多く、『基準がわからない』という声が上がっていた。左右どちらのイデオロギーであっても、基準の不明確な『恣意性』を排し、過剰にBANしたものを復活させるのは、自由が戻ってきたといえる」
――「米連邦議会襲撃を扇動した」と批判されたトランプ氏のアカウント凍結解除には反発がある
「そもそもトランプ氏のアカウント凍結はツイッター社の政治的行為だった。当時のツイッター社内ではトランプ氏のツイートは社内規約に反していないと認定されていたことが、最近明らかになった。例えば、外国首脳の扇動的ツイートは制限されておらず、社員の政治的信条に影響されて、二重基準で極端な判断がなされた可能性が高い」