カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けているセブン&アイ・ホールディングスは10日、提案内容を検討する社外取締役でつくる特別委員会がクシュタールに対し、米国で展開する「サークルK」を含む全店舗の一括売却を提案したと発表した。セブン&アイは米国の独占禁止法への抵触を懸念しており、対応策の一つとして提案した。
セブン&アイが同日、株主向けに公表した書簡の中で明かした。
特別委はクシュタールと協議を重ね、米独禁法に抵触するリスクの払拭に向けては、サークルKの一括売却、もしくは2000以上あるとされる両社の近接店舗の売却を買収契約締結の前提とすることなどを提案したとした。クシュタールにとってはハードルが高い方策だが、実現させることで「(買収提案を)現実的に評価できる」(セブン&アイ)と厳しい前提条件を突き付けた。
一方、セブン&アイは6日に井阪隆一社長が退任し、後任に社外取締役のスティーブン・ヘイズ・デイカス氏を充てる人事を発表した。その後、株主である米ファンドのアーチザン・パートナーズ・アセット・マネジメントが、デイカス氏が次期社長候補だったにもかかわらず、特別委のトップを務めていたことなどを問題視。利益相反や買収提案に対する消極性を懸念する書簡を出していた。
これに対し、セブン&アイは書簡で、アーチザンの指摘について「全ての事実を把握していないにもかかわらず、当社の姿勢について誤った認識をしており遺憾」と反発。また、デイカス氏の人事を巡る懸念には同氏が客観性を持って特別委の議論に臨んでいたと強調する一方、「特別委は潜在的な利益相反状況に対応したり、法律によって要求されたために組成されたものではない」と説明した。