経団連の榊原定征会長は5日の定例会見で、政府が検討する現在2年に1回の医療用医薬品の薬価改定を毎年に短縮する方針を、製薬業界が反対していることに、「社会保障制度そのものを維持するためには改革は避けられない」と、短縮方針に一定の理解をみせた。その一方で「製薬業界の競争力強化も必要だ」と言及。榊原氏が政府方針と業界反発に板挟みになっている状況を示した。
薬価改定の短縮は、榊原氏が民間議員として参加する経済財政諮問会議で議論されている。膨張する医療費の抑制と国民負担軽減につなげたい狙いだ。
これに対し、日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会など4団体が先月30日に「毎年の改定は企業の競争力を弱体化させ、国の成長戦略と矛盾する」として、「断固反対」の共同声明を出した。薬価引き下げのペースが早まると、「日本市場に向けた開発や事業を展開する意欲が失われる」(外資系製薬首脳)懸念が強いからだ。
榊原氏は「個別の事業団体の利益代表ではなく中立的な立場で、諮問会議に参加している」としたうえで、薬価以外も含め「社会保障改革で国民負担増の提案もしている」と、改革の必要性を強調した。