柔道家としても知られるロシアのプーチン大統領が尊敬する日本人として名前を挙げるのが、全日本柔道連盟の山下泰裕会長(60)だ。平成12年以降、毎年のように顔を合わせ、交流を深めてきた。折しも日露関係は両首脳が北方領土での共同経済活動を目指すことで合意するなど重要局面に入っている。その鍵を握るのは絶大な権力を握るプーチン氏に他ならない。山下氏が垣間見たプーチン氏の素顔を聞いた。
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プーチン大統領と何回会ったかって? 20回を超えることは間違いないけど、そこから先は数えていないです。
私に会うときはいつも笑顔のプーチン大統領だけど、26年8月にロシアで行われた柔道の世界選手権大会の最終日に会ったときは違った。
その年の9月にロシアで「日露フォーラム」があって、森喜朗元首相が行くことになっていたんです。ところが、プーチン大統領とのアポイントメントが取れないという情報が入っていた。それで「日露フォーラムに森元首相が行きます。この機会にお会いしたいと思われていて、時間を作ってもらえませんか」という話をしたんだよね。そしたら「ヨシ(森氏)が来る? そんな話は聞いてないよ。その時期だったらモスクワにいるよ」って言われたんですよ。