大相撲初場所14日目(27日、両国国技館)1敗で単独トップの栃ノ心(30)が松鳳山(33)を寄り切り初優勝。平幕力士の優勝は平成24年夏場所の旭天鵬(現友綱親方)以来、6年ぶりとなった。所属する春日野部屋では昭和47年初場所の栃東以来、46年ぶりに賜杯を抱く。
栃ノ心は1987(昭和62)年10月13日生まれの30歳。ジョージア・ムツヘタ出身で米俳優、ニコラス・ケイジ(54)似として知られる。母国で歯科医師の資格を持つ異色の存在だ。平成18年春場所で初土俵を踏み、20年夏場所で新入幕を果たし、28年名古屋場所では関脇に昇進した。握力は左右とも90キロの怪力。27年6月に幼なじみのニノさんと結婚し、昨年11月に長女・アナスタシアちゃんが生まれた。
けがに苦しんだ苦労人でもある。25年名古屋場所で右膝に十字靱帯断裂、内側側副靱帯断裂の重傷を負った。3場所連続で全休し、西幕下55枚目まで陥落した。26年春場所で土俵に復帰すると、幕下連続2場所、十両連続2場所優勝という快挙で幕内復帰。幕下55枚目からは戦後、最も低い地位からの返り咲きを果たした。
また23年10月に幕下力士2人を連れ出し部屋の門限を破り、師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)からゴルフクラブで殴られたこともある。いったん部屋を飛び出したが、数日後に戻り親方に土下座で謝罪。被害届を出さなかったため事件化は見送られた。