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R を起動するその前に
kos59125

2012-08-03 NagoyaR#9
お知らせ
• 説明の都合上,微妙な嘘が多分に含まれて
います
主な内容
• R の設定の話

• R 起動時の処理を変更するための設定を行える
 ようにする

• R の話ではなく,パソコンの話

• 想定するレベル

• 多少の問題であれば自己解決できるレベル
話の流れ
• 起動オプション

• 環境変数

• 設定ファイル
モチベーション
モチベーション




   しつこい
モチベーション
• 起動時のライセンス

• いらない

• 終了時の保存確認

• いらない

• q("n") とすれば良いが面倒くさい


  最初から表示させない設定にしたい
コマンドライン引数
• プログラム    (ここでは R のこと)    で最初に実行さ
れる関数     (いわゆる main 関数)   に与えられる引数
• 例) R.exe "hello world" see you
 → R.exe, hello world, see, you の 4 引数

• 実行中の R からは commandArgs 関数で確
認できる
起動オプション
• プログラムの挙動を変える特別なコマンド
ライン引数
• 例) 多くの UNIX コマンドは –h か --help を
 コマンドライン引数に指定するとプログラムの
 ヘルプを表示して終了する
R の代表的な起動オプション
• --quiet (-q)

 • 起動時のメッセージを表示しない

• --no-save

 • 終了時にセッションを保存しない (q() が
  q("n") と同じ意味になる)

• --help (-h)

 • オプションの一覧を表示する
引数の指定 (Windows)
• ショートカットアイコ
ンを右クリックしてプ
ロパティを選択

• リンク先にコマンドラ
イン引数を指定


• (余談) 作業フォルダーも変えて
おくと良い
引数の指定 (Mac OS X)
• GUI 版はコマンドライン引数を無視するの
で起動オプションを指定できない
• 参考) 普通の Mac アプリはターミナルから
  open -a App --args x y z
 のようにコマンドライン引数を指定できる

• コンソール版は普通にコマンドライン引数
を指定できる
引数の指定 (Linux)
• 一般的なコマンドと同様
環境変数
• OS がプロセスを超えて共有するデータ

• プログラムが環境変数を取得して利用する

• Windows だとレジストリを使う場合が多いが
 環境変数も使われる

• 設定ファイルのパスの指定等に使う
環境変数
• Windows では %VARIABLE% のように変数
名を % で挟んで参照

• Mac / Linux では ${VARIABLE} のように
変数名を ${} で囲む     ({} は多くの場合に省略可)


• R からは Sys.getenv("VARIABLE") の形
で取得可能
R が使う主な環境変数 (1)
• R_USER

 • ユーザーディレクトリ

  • ユーザー設定ファイル等を配置するディレクトリ

• R_HOME

 • R のインストールディレクトリを指定

 • 外部プログラムから R を利用したり,複数の
  バージョンがあるときに使う
R が使う主な環境変数 (2)
• R_ENVIRON_USER

 • 環境変数をまとめて指定するファイルを指定

• R_PROFILE_USER

 • 起動時に実行するスクリプトを指定
R が使う主な環境変数 (3)
• R_LIBS_USER

 • パッケージを保存するディレクトリを指定

 • 指定しておけば権限なしでもパッケージがイン
  ストールできる

 • R からは .libPaths 関数で確認可能

  • システムで利用するライブラリーのディレクトリも
   表示される
環境変数の設定 (Windows)
• スタート
→ アイコンクリック
→ 環境変数の変更

• コントロールパネルか
らでも OK
環境変数の設定 (Windows)
• [新規] で新しい環境変
数の定義

• [編集] で既存の環境変
数を編集

• 1 つの変数に複数の値
を定義したい場合はセ
ミコロン (;) で区切る
 • 例) foo;bar;baz
環境変数の設定 (Windows)
• 後述の Renviron 内でファイルのパスを指
定する場合は,フォルダ区切り文字を ¥ で
はなく / にする必要がある
環境変数の設定 (Mac OS X)
• export コマンドで指定

• 例) 環境変数 FOO に値 BAR を割り当てる
   export FOO=BAR

• 1 つの環境変数に複数の値を指定したい場
合はコロン (:) で区切る
• 例) 既存の環境変数 PATH に新しい値 ~/bin を
 追加する
  export PATH=${PATH}:~/bin
環境変数の設定 (Mac OS X)
• ログインするたびに環境変数を設定しなお
す必要がある
• ログイン時実行されるスクリプトファイル
 (~/.bash_profile) に指定しておく
環境変数の設定 (Linux)
• ログインシェルが bash なら Mac OS X
と同じ
• 他のシェルの場合は各々のシェルの流儀に
従う
指定すると良い R の環境変数
• Windows

 • R_ENVIRON_USER

  • ホームディレクトリに設定ファイルを置かない

• Mac OS X / Linux

 • 特に指定する必要はない

 • 他のアプリケーションとの連携でトラブルがあ
  る場合は R_HOME を指定すると解決するかも
主な R の設定ファイル (共通)
• Renviron

 • 環境変数を指定

• Rprofile

 • 起動時に実行されるスクリプト
主な R の設定ファイル (Windows)
• Rdevga

 • プロットに使用されるフォントの設定

• Rconsole

 • R Console の設定ファイル
Renviron
• 環境変数を指定するファイル

 • ファイルの場所は R_ENVIRON_USER で指定さ
 れる
  • カレントディレクトリかホームディレクトリにあ
  る .Renviron がデフォルト

 • R で利用するその他の環境変数 (R_USER 等) は
 このファイルにまとめて指定すればよい
Renviron
Rprofile
• 起動時に実行されるスクリプトを記述した
ファイル
 • ファイルの場所は R_PROFILE_USER で指定さ
 れる
  • カレントディレクトリかホームディレクトリにあ
   る .Rprofile がデフォルト

 • .First 関数と .Last 関数

 • --no-init-file オプションで無視される
Rprofile
Rdevga (Windows)
• プロットに使用されるフォントの設定

• ファイルの場所は R_USER で指定されたフォル
 ダ内 (ファイル名は固定)

• 先頭の 4 つを日本語が扱えるフォントを指定す
 れば OK

• R でフォントを指定することもできる

• 阪上先生のブログを参照のこと
Rdevga (Windows)
Rconsole (Windows)
• R Console の設定

 • ファイルの場所は R_USER で指定されたフォル
 ダ内 (ファイル名は固定)

 • SDI/MDI

 • フォント

 • コンソールサイズ
Rconsole (Windows)
設定 (Windows)
• 環境変数 R_ENVIRON_USER を作成

 • %APPDATA%¥R¥Renviron が Windows 流だが,
 うまくいかないので以下のようにすると良い
  • Windows Vista / 7

   • %USERPROFILE%¥AppData¥Roaming¥R¥Renviron

  • Windows XP

   • %USERPROFILE%¥Application Data¥R¥Renviron
設定 (Windows)
• デフォルトの設定ファイル         を
                     (場所は後述)
R_ENVIRON_USER に指定した場所にコピー

• Renviron ファイル内で R_USER /
R_LIBS_USER / R_PROFILE_USER を指定
設定 (Mac OS X / Linux)
• デフォルトの設定ファイル        (場所は後述)   を
~/.Renviron にコピー   (~ はホームディレクトリ)


• Renviron ファイル内で R_USER /
R_LIBS_USER を指定
 • デフォルトで ~/.Rprofile を読むので
 R_PROFILE_USER は指定しなくとも良い
デフォルトの設定ファイルの場所
• Windows

 • (インストールフォルダ)¥etc¥Rcmd_environ

• Mac OS X

 • /Library/Frameworks/R.framework/Resour
  ces/etc/x86_64/Renviron

• Linux

 • /etc/R/Renviron
まとめ
• 起動オプションで R の挙動を変えられる

• 環境変数を指定すると R の実行環境が改
善できる
参考文献
• help(Startup)

• 「R の設定」

 • 今回の話とほとんど同じです

• 「美しいフォントを使いましょう ―神は
細部に宿る... つまりは,Mac 買おうとい
うおはなし―」

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