電通過労自殺から6年 高橋まつりさんの母「企業が何も変わらないことが苦しい」

2021年12月24日 06時00分 有料会員限定記事
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高橋まつりさんの遺影を手にする母・幸美さん=都内で

 広告大手電通の新入社員だった高橋まつりさん=当時(24)が、長時間労働やパワハラに苦しんで自殺してから25日で6年になる。まつりさんの死は社会全体を動かし、働き方を見直す契機となった。しかしその傍ら、この1年も企業における悲劇が相次いで発覚した。母の幸美さん(58)は本紙の取材に「今年は特につらい1年だった。過労死が続いていること、企業が何も変わらないことが苦しい」と打ち明ける。(竹谷直子)

◆「社会全体が労働者を搾取している」

 「娘のことを話し続けることで、苦しんでいる人たちの力になれたら」
 幸美さんは、まつりさんを亡くした翌年の2016年から、全国各地へ講演に出向いて自らの経験を語り続けている。娘の死から6年がたった今も、原稿を読む練習をする際に涙があふれる。「つらくてやめたい」と思うこともある。だが、各地からはつらさを訴える相談が寄せられる。
 「まつりが苦しんでいるときに助けられなかった。『まつりのお母さんに聞いてほしい』という声があったら返してあげたい」と心を奮い立たせて行脚を続けた。過労死防止を議論する国の協議会にも出席し、声を上げてきた。
 しかし厚生労働省によると、仕事が原因で精神障害を患い、20年度に労災認定されたのは過去最多の608件。過労死、過労自殺の認定は148件に上った。
 大企業でも痛ましい死が相次いでいる。今月上旬には、パナソニックの男性社員が長時間労働で19年に自殺に追い込まれていたことが判明。同社では16年にも同様の事例があった。今年11月には、佐川急便の男性社員がパワハラを理由に自殺していたことが明らかとなった。
 トヨタ自動車や三菱電機でもパワハラによる自殺が起きている。こうした現状に幸美さんは「日本社会全体が労働者をぎりぎりまで働かせ、搾取している。国が原因究明、再発防...

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