相次ぐ契約変更で費用が膨張したマイナンバー事業で、関連システムの整備・運用で繰り返された29回の変更のうち、23回は利用する自治体からの要望によるものだったことが分かった。複数の自治体担当者は「事前テストが不十分だった」と証言。システム稼働前の検証不足が、運用開始後の変更多発を招いた可能性があり、事業費を増大させた。(デジタル政策取材班)
本紙が、国のマイナンバー政策を担う地方公共団体情報システム機構から資料提供を受け分析した。
契約変更を重ねたシステムは、全国の自治体とマイナンバーの中枢システムをつなぐ「中間サーバー」。マイナンバーの情報連携で要となる機器で、行政手続きに必要な情報を役所間でやりとりする際のセキュリティーを強化する。機構はサーバーのハードウエアの運用・保守をNECなどに発注した。
◆改善要望200件超える
2017年7月から中間サーバーが稼働し情報連携が始まると、システム改善を求める声が各自治体から相次いだ。機構によると、要望は200件を超えた。このうち「DV被害者の個人情報をより確実に保護する設定にしてほしい」「端末操作中のエラーメッセージを分かりやすくして」など84件の要望に応じた。改修のために、機構は23回の契約変更を行った。
◆国「使って初めて分かることも」
中間サーバーの稼働前には、国主導で、全国の自治体が参加したテストも実施していた。神奈川県内の自治体担当者は「近隣の自治体と情報を送ったり受け取ったりする簡単なもので、窓口の職員が手順を確認する研修のつもりだった。とてもシステムの機能をチ...
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