電話相談を通じ、自殺を防ぐ「いのちの電話」。新型コロナウイルス禍の影響を受けたとみられる自殺者数が高止まりし、必要性が高まる中、研修費用は全額自己負担で採用後は無償という相談員の厳しい待遇がインターネットを中心に話題となっている。高齢化で相談員が減り続ける中、十分な相談員を確保するため専門家は「負担を軽減する必要がある」と指摘する。(市川千晴、我那覇圭)
いのちの電話は全国50カ所で社会福祉法人やNPOなどが運営。相談員数はボランティア計5700人ほど。2021年の相談件数は前年より6000件増え53万件に上り、国内最大の窓口だ。
一般社団法人「日本いのちの電話連盟」によると、相談員になるには一般的に約1年間の研修を受け、電話の応答やボランティアとしての倫理などを学ぶ。費用負担は約4万円で、別に実費負担の合宿がある。交通費は出ない。首都圏のある運営団体では相談員になった後、3時間半の電話相談が月2回、深夜帯5時間が年1回義務付けられる。毎月1回研修もある。
◆研修に合宿、せめて交通費だけでも…
首都圏で相談員を務める60代女性は取材に、コロナ禍で生活苦や不安を訴える人が増えていると話す。「やりがいはあるが、勤務先の仕事を続けながら週1回の研修や合宿を両立させる難しさはあった」と語る。年金だけで暮らす相談員もいると指摘し「交通費だけでも運営側で負担を検討して」と求めた。
厚労省は連盟に20年度で1億5000万円の補助金を拠出した。だがフリーダイヤル相談の研修会費や講師への謝金などに充てられ、相談員には回っていない。自治体などが独自に財政...
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